池に突然現れたサメ、その正体とは?
2013/06/23 14:00
広告、特に屋外広告の類は、「多くの人に気づいてもらうこと」が何より大切になる。そしてその「気づき」がアピールしたい内容に連動していれば、見た人たちも容易に想像・連想がつき、意図を理解してもらいやすくなるし、深く記憶に刻まれる。今回紹介するのは、びっくりさせるモノを普段ありえない、違和感を覚える場所に出没させ、その上で時間差により本当に知ってほしいことを伝える広告手法である(I Believe in Advertising)。
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↑ A Shark Sighting in Stanley Park。
これはカナダのスタンレー公園の湖で展開された野外広告。雨の日などで湖が増水すると、湖の岸から少し離れた部分に、サメの背びれが登場する。映画「ジョーズ」をはじめとして、サメの存在をアピールする、アレだ。
↑ 公園内の湖(一応海とつながっているが)に突如として登場するサメ……の背びれ
動きはしないものの、それが示す「サメの存在」と、違和感(なぜ公園の湖にサメが居るのか)で、皆が足を留め、注目し、この場所をしっかりと記憶するようになる。
↑ 公園の沿岸を行きかう人は皆足を留め、注目する。「海からやってきたのでは?」と考える人も
そして湖の水面が下がり、「あのサメはどうなったのだろう」と再び足を運ぶ、あるいは散歩がてらにその場所に行き、「サメ」の様子を確認しようとすると……
↑ 背びれの下から現れたのは、水族館のイベントを告知する看板
そこにあるのは例のサメの背びれ、そしてその下にはこの公園のそばにあるバンクーバー水族館でのイベントの看板。そう、サメがいるように見えたあの背びれは、水族館のイベントを告知するためのフェイクだったわけだ。
これが単なるイベントの宣伝なら、「水族館の広告ならありがちかな」で終わってしまう。しかし宣伝している内容が、「サメやエイの神秘(The Secret World Of Sharks And Rays、http://www.vanaqua.org/experience/feature/sharks-and-rays )」という催し物であることに気が付くと、「サメのイベントだからサメっぽく見せていたのか」と見ていた人を納得させ、深い印象を与えることになる。
↑ サメやエイの神秘(The Secret World Of Sharks And Rays、http://www.vanaqua.org/experience/feature/sharks-and-rays )
↑ 「なるほどね」と感心して写真を撮る人たち
逆に、最初に水が引いた状態でこの看板を見ると、「サメのイベント…だから看板の上に背びれがついているのか」程度にしか思わない。しかしその後、増水した状態で再びそこに足を踏み入れると、背びれだけの状態に驚き、そして先の看板まで見えていた時を思い出し、「なるほど」と納得させられる次第。
アピールできる対象エリアが狭いため、広範囲への影響は難しいものの、この場所に人通りが多ければ、それなりの数の人に知ってもらえる。看板の高さの調整に難儀するかもしれないが、費用対効果という観点では、なかなか優れた切り口ではないだろうか。
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