アジアが伸びる携帯市場…2016年までの携帯市場動向
2013/06/05 11:30
3年ほど前の記事【世界のモバイルユーザーの推移】を再確認した際に、同記事のベースとなった、モバイル関係の市場調査を世界規模で行っているPortio Research社の資料について、最新版の【Portio Research Mobile Factbook 2013(PDF)】が提供されていることが分かった。そこで今回から何回かに分けて、同資料を基に世界のモバイル事情とその近未来予測について、グラフの再構築と共に精査していく。今回は世界的な携帯情報端末の成長ぶりを見ていこう。
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2016年には85億人……?
今記事では「携帯情報端末」との表記を用いているが、これは「モバイル端末」を意味する。具体的には「一般携帯電話(フィーチャーフォン)」と「スマートフォン」を合わせたもの。タブレット機はモバイル的な要素もあるが、資料では別枠のコラムで動向が記されていることや、各図表・解説文では「スマートフォン」「スマートフォン以外の機種」のみの区分しか用意されていないことから、今件では数字上に反映されていないと考えられる。
まずは携帯情報端末の加入者数推移。2012年分以降は予想値となるが、2016年には携帯情報端末において84億7900万人の契約数となる。各年の人口普及率は記述されていないが、2012年時点ですでに92%とあるので、2016年には(計算上は)100%を超えていてもおかしくはない(一人複数契約、つまり複数のSIMカード保有の場合もあるため、計算上の普及率と実態普及率は異なる)。
↑ 携帯情報端末の加入者数と直近予想(Portio Research、2013年)(2012年以降は予想値)(%は前年比)(億人)
グラフの下部には前年比を算出しておいたが、2013年以降は成長率がやや鈍化する様子が確認できる。それでも年6-7%の伸びを継続しているのだから大したものだ。
成長の大黒柱、アジア太平洋
この成長を大きく支えるのがアジア太平洋地域。次に示すのは2013年時点での地域別加入者数と、2011年-2016年の地域別年平均成長率。成長率ではアジア、中東、アフリカ諸国、ラテンアメリカなど、新興国を多く含む地域での成長率が著しく、絶対数ではアジア太平洋地域が群を抜いているのが分かる。
↑ 2013年の地域別・携帯情報端末加入者数(予想、億人)
↑ 2011年-2016年の地域別・携帯情報端末加入者の年平均成長率
特にアジア太平洋地域は、2013年時点での加入者予測が37億人近くに達しているにも関わらず、年平均成長率が9.0%を数えており、同地域の加速度的な成長ぶりが改めて理解できる。
では具体的にどこの国が増加しているのか。次のグラフは年平均成長率を計算した期間、2011年から2016年における全世界を対象とした、予想増加加入者数の上位10位を示したもの。中国とインドだけで12億人近くを計上しており、この2国がアジア太平洋地域の成長を牽引していることになる。
↑ 2011年から2016年に「増加する」携帯情報端末加入者数上位10位(世界規模、予想、億件)
第3位のインドネシアも、アジア太平洋地域では有数の携帯電話普及国として知られている。これら3国がすべて同地域に位置しているのだから、高い成長率と桁違いの加入者数を示しても不思議ではない。
無論、以前の記事でも注意書きした通り、これらは「携帯電話をはじめとしたモバイルユーザー」数の推移であって、モバイルによるインターネット利用者数の推移では無い。
しかしながら、両者が「ニア・イコール」に一歩ずつ近づいていくのは間違いない。最初から「イコール」のスマートフォンの普及がそれを加速化させている。加速的に伸びる加入者数と成長率は、新興諸国のインターネット分野におけるポテンシャルを、さらに飛躍させるに違いない。
■関連記事:
【モバイル大展開…ニールセンのレポートからインドネシアのネット事情をかいま見る】(2011年9月)
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