30-59歳の二人以上世帯では84.3%、60歳以上単身世帯は44.2%…パソコンの世帯主年齢階層別普及率(最新)

2024/10/09 02:47

このエントリーをはてなブックマークに追加
2024-0930かつては仕事用として、あるいは裕福な家庭にのみその姿を見ることができた、個人向けのコンピューターことパーソナルコンピューター、略してパソコン。今や多くの人が手に取れるようになり、同時にインターネットへの窓口としての使い方が主目的となる機材として認知されている。またその様式もデスクトップパソコンだけでなくノートパソコンも普及し、昨今ではむしろノートパソコンの方が普及率は高い状態。一方でその「インターネットへの手軽な窓口」との観点では、より機動性の高いスマートフォンやタブレット型端末に(完全な代替機ではないものの)主役の座を奪われつつあるのが現状。そのパソコンの普及率について、世帯主の年齢階層別に詳しい動向を、内閣府が定期的に公開している調査結果【消費動向調査】を基に確認していくことにする。

スポンサードリンク


総世帯におけるパソコン普及率推移


「消費動向調査」そのものの解説や「世帯」の区分、「普及率」の定義についてはまとめ記事【定期更新記事:主要耐久消費財・普及率(内閣府・消費動向調査)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。また今件では2013年までは明確な定義はないが、タブレット型端末は(回答者独自の判断により)いくぶん今件のパソコン扱い(ノートパソコン系)されているものと考えられる。一方2014年以降は回答項目に「タブレット型端末」が新設されており、その誤認は無くなった。なおそのタブレット型端末自身の動向は機会を改めて精査する。

内閣府の消費動向調査で年齢階層別の調査が行われているのは2004年4月以降各年3月次。そこでそれらのデータをベースに、「総世帯」(要は全部の世帯)における世帯主年齢階層別・パソコン普及率をグラフ化したのが次の図。

↑ パソコン普及率(総世帯、世帯主年齢階層別)
↑ パソコン普及率(総世帯、世帯主年齢階層別)

先行記事【テレビやパソコンなどの普及率(上)…テレビ・パソコン・ファックスなど】の通り、二人以上世帯のパソコン普及率は直近2024年で78.5%。それと比べると総世帯では8.5%ポイント低い値。逆算すれば容易に分かるのだが、これは単身世帯においてパソコン普及率が低いことが原因(総世帯=単身世帯+二人以上世帯)。

また経年推移を見ると、2009-2010年にイレギュラー的な動きがあるが、総じてどの世代でも時間の経過とともに、普及率が少しずつ上昇していた。ところが2014年においては中年層(30-59歳)でやや大きめな減少が発生し、これが原因で総世帯全体でも前年比でマイナスの値を示してしまった。【小中高校生のパソコン使用状況】でも指摘している通り、インターネットのアクセスのためのツールとして割り切り、より機動性が高く価格が安いスマートフォンやタブレット型端末にシフトした結果、パソコン利用の必然性が下がった可能性が考えられる。

他方、若年層(29歳以下)では2014-2015年に大きな上昇を示したあと、失速。2017年まで急降下の様相を呈した。単年だけなら2010年の時のような統計的誤差の可能性もあったが、2年連続した下げ方は、単なる誤差ではなく実情として普及率が落ちていると見てよいだろう。まさに「若者のパソコン離れ」が体現化された形ではある。その後はもみ合いながらも上昇を示していたが、2023年以降は落ち込みを見せている(60歳以上は2024年に入ってからだが)。

保有数(該当種類世帯全体。保有世帯限定ではない)を見ると、中年層で2014年をピークとして上昇の動きは止まり、減少に転じていた動きが確認できる。

↑ パソコン保有数(総世帯、1世帯あたり、世帯主年齢階層別、台)
↑ パソコン保有数(総世帯、1世帯あたり、世帯主年齢階層別、台)

ややぶれはあるものの上昇を継続しているのは高齢層(60歳以上)のみ。中年層は2014年を天井とし、それ以降は減少傾向。中年層の普及率は大きな下落は示していないことから「とりあえず持っている世帯」は微減程度だが、「複数台を維持している世帯」が大きく減少している状況が考えられる。パソコンは1台あれば十分で、それを補完する形でスマートフォンやタブレット型端末を使いこなすスタイルが浸透しつつあるのだろうか。

他方若年層は中年層と同じく2014年を天井としてその後は下落していたが、2017年を底として再び上昇の動きを見せた。そして2021年に大きく失速し、それ以降は微減の状態。直近2024年では全年齢階層で前年比マイナスとなっている。

直近の2024年分を世帯種類別で精査する


直近2024年における実情を総世帯ではなく、単身世帯・二人以上世帯それぞれのパソコン普及率・保有世帯あたりの(調査対象世帯全体ではない)保有数を示したのが次のグラフ。要はパソコンを保有している世帯も持っていない世帯もあるが、どれぐらいの世帯が持っているか、そしてその保有世帯に限定して「それでは何台自宅にあるのか」と聞いた結果の平均値。

↑ パソコン普及率(世帯種類別・世帯主年齢階層別)(2024年)
↑ パソコン普及率(世帯種類別・世帯主年齢階層別)(2024年)

↑ パソコン保有世帯あたり保有数(世帯種類別・世帯主年齢階層別、台)(2024年)
↑ パソコン保有世帯あたり保有数(世帯種類別・世帯主年齢階層別、台)(2024年)

単身世帯よりも二人以上世帯の方が、パソコンの普及率は高いが、29歳以下に限ればほぼ同率。単身世帯での高さは、いわゆるマニア的な層による値のかさ上げによるものだろう。

また高齢層の単身世帯では保有率は著しい低さを見せる。「一人暮らしの高齢者が、改めて一から、あるいは初歩から教えてもらう人もおらず、パソコンに興味を持っても保有できない状態」なのが容易に想像できる。無論、経済的な面や身体上の理由も想定できる。

保有世帯における保有台数を見ると、一様に二人以上世帯の方が多い。これは世帯主だけでなく配偶者、そして子供も保有している事例があるからに他ならない。



昨今では「インターネットにアクセスするのはスマートフォンで十分」とする事例が増えている。俗にいうタッチパネル世代と表現できる層ともいえるのだが、仕事場での利用ならともかく、プライベートではパソコンは不必要で、スマートフォン、せいぜいタブレット型端末があればインターネット利用は事足りると割り切る人達である。利用目的次第ではまさに正論で、今後このスタイルは増加してくるのは間違いない。デジタル写真におけるデジカメからスマートフォン、固定電話から携帯電話へのシフトの流れに似ており、興味深い話には違いない。


■関連記事:
【中年層以降で進むスマホシフト…モバイル端末利用率動向(最新)】
【スマホがトップでパソコン超え、60代前半では82.9%が利用…高齢者のインターネットアクセス機器動向(最新)】
【3-6歳児でもパソコン利用率2割超、子供のみでの利用も1割近く】
【小学生の自宅でのパソコン利用率は約8割、そのうち3割は「小学に上がる前から使い始めた」】
【パソコンの使い始めは平均3歳半…!? アメリカの幼児におけるデジタルアイテムの使い始め時期などをグラフ化してみる】

スポンサードリンク



このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|X(旧Twitter)|FacebookPage|Mail|RSS