年齢階層別のテレビ普及率(最新)

2024/10/08 02:36

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2024-0930インターネットが普及しスマートフォンやタブレット型端末が多くの人の手に収まる昨今においても、テレビが相変わらずメディアの主体の立ち位置にあり、多くの人に視聴される映像機器に違いはない。また日本では諸外国と比較して、とりわけ高齢者において、テレビを神格化する傾向が強く、テレビはさまざまな方面で強い影響力を持ち続けている。今回は内閣府の【消費動向調査】を基にテレビの普及率などの推移を介して、いかに深く浸透しているかを再確認するとともに、状況の変化のある無しに関しても見ていくことにする。

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「消費動向調査」そのものの解説や「世帯」の区分、「普及率」の定義についてはまとめ記事【定期更新記事:主要耐久消費財・普及率(内閣府・消費動向調査)】で説明を行っているので、そちらを参照のこと。まずは総世帯(全部の世帯)における、世帯主の年齢階層別、カラーテレビ(ブラウン管から薄型まで全部を合わせた)普及率の推移。ただし2014年からはブラウン管テレビは除外されている。

↑ カラーテレビ普及率(総世帯、2014年以降はブラウン管テレビ除外、世帯主年齢階層別)
↑ カラーテレビ普及率(総世帯、2014年以降はブラウン管テレビ除外、世帯主年齢階層別)

ブラウン管テレビが除かれたのは、地デジへの切り替えや市場動向を鑑み、実質的に活用している世帯はほとんどないとの現状に即した調査を行うため。しかしその結果、2014年分は有意な形で各年齢層とも値の落ち込みを見せることとなった。

ただしよく見直すと若年層(29歳以下)ではさほど下落がなく、前年からの動向の限りではブラウン管テレビ対象外の影響(ブラウン管テレビのみの保有で、今件項目には回答対象とならなかった人)はほとんどないと考えてもよい。一方で中年層(30-59歳)や高齢層(60歳以上)では明らかに大きな影響が、特に高齢層で生じており、ブラウン管テレビの保有について「若年層はほとんど無かった」「高齢層は結構な数を保有していた」ことが再確認できる。そのブラウン管テレビによる変動を除けば、若年層と、中年層・高齢層との間に小さからぬ普及率の差が生じている状況に変化は無い。

2015年以降はテレビに対する世代間の意識格差が顕著に現れる形となった。元々若年層世帯は対象数が少なく、統計上のぶれが生じているのは否定できないが、中年層以降と比べてテレビ離れが加速している感は強い。2023年では値が取得できる2005年以降でははじめて若年層が8割を割り込む結果となったが、直近の2024年ではその値をさらに下回る結果が出てしまっている。中年層も大きく下がり、早ければ2025年にも9割を切りそうだ。

続いて昨今のテレビ普及率と大きな関係がある、ブラウン管テレビ・薄型テレビ(液晶・プラズマ)の普及率を併記してみる…とはいえ、ブラウン管テレビはデータが取得されていないので、グラフは2013年止まりとなっている。また当然ながら2014年以降は、テレビ全体と薄型テレビ(液晶・プラズマ)テレビの普及率は同じ値を示している。

↑ カラーテレビ普及率(総世帯、ブラウン管テレビ、世帯主年齢階層別)
↑ カラーテレビ普及率(総世帯、ブラウン管テレビ、世帯主年齢階層別)

↑ カラーテレビ普及率(総世帯、薄型テレビ(液晶、プラズマ)、世帯主年齢階層別)
↑ カラーテレビ普及率(総世帯、薄型テレビ(液晶、プラズマ)、世帯主年齢階層別)

これらの動向からは

・世帯からのブラウン管テレビの撤去は進んでいる。特に若年層が加速度的に進行している。2014年以降のデータは無いが、現状では恐らく、すべての年齢階層でほぼゼロにまで落ち込んでいることが予想される。

・薄型テレビの普及は全世帯で順調に進んでいる。特に中年層以降が伸びていた。

・若年層は「ブラウン管テレビを積極的に手放し、薄型テレビへは他年齢階層と比べれば買い替えをあまりしていない」傾向が見られる。結果として、カラーテレビ全体の普及率で、中年層以降とのかい離に直結することになる。

・2013年以降はブラウン管テレビの撤去状況がほぼ終了。また薄型テレビの普及状況に天井感。

・2015年以降は若年層に振れ幅の大きな変動が生じており、普及率が大きく低下している。中年層以降との間には引き続き大きな隔たりが生じている。また中年層でもわずかずつだが普及率は落ちつつある。

などの傾向がつかみとれる。もっとも注目すべきなのは、若年層でのテレビ全体の普及率が低い理由として「ブラウン管テレビから薄型テレビの買い替えタイミングで、テレビそのものを置かなくなった」動きがあるのが読み取れること。さらには一人暮らしを始める若年層が、テレビそのものを必要とせずに購入しない、つまり買い替え以前の問題(最初から買わない)の事例も出てきたものと考えられる。

2013年以降における薄型テレビ普及率の天井感、さらには漸減の気配にも要注目(30-59歳以下と60歳以上の年齢階層では2016年がピークのように見える)。通常の買い替え機会(例えば故障)に伴う更新や、引っ越しや新居住まいの際の新規購入はこれまで通りだが、形式切り替えによる買い替えは、今後ほとんど望めないことが見て取れる。普及率の動きが、現状における飽和状態を示しているからだ。



よい機会なので「1世帯あたりのカラーテレビ保有台数」も更新しておくことにする。無論こちらもブラウン管テレビについては2014年分以降のデータは存在しない。また2014年以降はカラーテレビ総数=薄型テレビのため、グラフの折れ線が一致してしまっている。

↑ 1世帯あたりのカラーテレビ保有台数(総世帯、2014年以降はブラウン管テレビ除外、台)
↑ 1世帯あたりのカラーテレビ保有台数(総世帯、2014年以降はブラウン管テレビ除外、台)

世帯あたりの普及率と似たような形を示している。ただし全体・総数が少しずつ減る動きが2014年ぐらいまで生じており、ブラウン管から薄型テレビに移行するのと併せ、少しずつテレビそのものの整理統合も行われていたことが容易に想像できる。2015年以降はいくぶん台数が増加していたが、これは薄型テレビの出荷台数分析記事で触れている通り、CATVのアナログからデジタルへの自動変換サービスが2015年春に一斉終了するのに伴い、チューナー購入ではなくデジタル対応の薄型テレビに買い替えをした結果が数字となって表れたものと考えられる。もっとも2016年以降はほぼ横ばい、そして漸減の動きに転じている。

今調査結果では、携帯電話などを利用した「ワンセグ」の保有率(利用率と呼ぶべきか)を含んでいない。特に若年層に普及が進んでいると思われるワンセグを加味すれば、もう少し違った値が出ることは想像できる。

しかしワンセグの視聴スタイルは明らかに固定型テレビと違う実情を考えれば、そして携帯電話自身でも、ワンセグ機能が積極的には使われていない現状を考えれば、「同じテレビ視聴」としてカウントするのも問題がある。やはり今件調査のように、テレビ本体として存在しているものを数える方が実情にかなっている。あくまでも今調査は耐久消費財そのものの保有動向の状況確認が主目的なのだから。


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