見ていて思わずアゴをさすりたくなるボランティア
2013/05/31 14:45
石けんや歯磨き粉のような日常生活用品の類は、一度お気に入りの種類が出来るとそれを継続して使うようになるため、新規顧客の確保は案外難しい。既知の、今使っている種類を差し置いても使いたくなる、少なくとも興味関心を持たせて試用させるだけのアプローチが欠かせない。一番手っ取り早いのは無料お試し品の提供だが、それでは味気ない。今回紹介するのは、世の中に貢献をしながら商品特性を周囲にアピールし、その商品に注目を集めさせるボランティアによるプロモーションである(【The ADS of the world】)。
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↑ Gillette City Trim。
これはヒゲ剃りで世界的に有名なジレット(Gillette)が新商品の「ジレット フュージョン プログライド(Gillette Fusion ProGlide)」をアピールするために、2013年4月ホンジュラスで行ったプロモーション。同商品はカミソリの心臓部にあたる刃の再開発を行い、肌への抵抗感を極力低くすることで、肌への優しさを追求すると共に、抜群な剃り味を見せる一品。
そこでいかに今商品が「剃り味抜群・肌にもやさしい」のかをアピールするため、創られたのが巨大な「フュージョン プログライド」を模した外見のヒゲ剃り……ではなく、ヒゲ剃りに見える芝刈り機。この特製芝刈り機を用い、市が(多分予算不足などで)管理を放棄していたTegucigalpaの公園で芝刈りを打って出ることになった。
↑ 当局側の管理が行き届かず、雑草が生え放題の公園や歩道
中味は普通の芝刈り機なので、きれいにサクサクと雑草が刈られていく。しかし周囲から見れば、「巨大なヒゲ剃り」が雑草を刈り取っているように見える。ヒゲを雑草に見立て、「ジレットの新商品なら、これほどまでにキレイに剃れるのですよ」と、無言でアピールできる次第。
↑ そこで登場したのがこの巨大ヒゲ剃り……に見える芝刈り機
もちろん周囲ではこれに合わせて、新商品のチラシを配ったり看板を配して、状況の間接的な説明を行う。巨大なヒゲ剃りがヒゲをそるがごとく雑草を刈り取っている異様な姿に、つい注目した公園を行きかう人も、このチラシを受け取って「なるほど感」を覚える次第。
↑ 芝刈りの周囲ではチラシを配って状況説明。なるほど感を覚える人達
日常生活で見かけるものが巨大化する非日常感が視野に入るため、つい注目をしてしまう。場所が作業をしている周辺に限られるが、プロモーションとしては上手い切り口に違いない。しかも場所は公園だから、日中から多数の人が行きかうため、効果も十分期待できる。
さらに日頃から利用者が困っていた「公園の不整備状態」が改善されるので、社会的貢献も果たせる。プロモーションそのもの、そして商品への心情も良いものとなる。
↑ 巨大化したヒゲ剃りは最強のインパクト。皆が足を留め注目する。思わず自分のヒゲに手を当てて剃るイメージを浮かべたり、アゴをさすったり、笑顔を見せる人も少なくない
一連の作業は2日間行われ、7つの公園と2つの歩道がヒゲを剃られた、もとい雑草を刈り取られて整備されたが、3000人以上の人が目を留めることになった。そして「フュージョン プログライド」が町の外観を素敵なものにしているという印象を植えつけられることになった次第。
ヒゲ剃りに模した芝刈り機で雑草を刈り取るという手法は、日本でも十分通用するはず。適切な場所があれば、今件と同じように大きな宣伝効果が望めることだろう。
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