普段なら見えるけどスマホを使いながらだと…な交通安全のアプリ

2013/05/29 08:45

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道の真ん中に子供が古くは一般携帯電話(フィーチャーフォン)の時代から、携帯電話の操作、特にメッセージのやり取り(テキスティング、texting)をしながらの運転の危険性は何度となく繰り返し叫ばれ、またの警告を無視した行動がきっかけで多くの悲劇が起きている。スマートフォンの普及やソーシャルメディアの浸透で、そのリスクはこれまで以上に高まり、各国で「運転中はテキスティングをするな」という啓蒙活動が繰り広げられるようになった。それでもなお「注意はちゃんとするから、運転中でも大丈夫」とたかをくくる人も少なくない。今回紹介するのは、実際に運転しながらスマートフォンで文字打ちをすると、どのような状態になるのかがイメージ的に認識できる、交通安全啓蒙の広告の話である(I Believe in Advertising)。



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↑ Toyota: QR Road。
↑ Toyota: QR Road。

これはトヨタがペルーで展開した雑誌広告。一面を大きく使い、道の中央でサッカーボールを拾おうとする子供の姿が描かれている。これだけでも「ああ、サッカーボールが道に転がって、飛び出す子供がいるかもな」というリスクに対する啓蒙を示すこともできる。しかしよく見ると、子供が背負っているバッグにQRコードが描かれている。

↑ 子供が道の中央に。サッカーボールを拾おうとして、思わず飛び出したのだろう。そして背中にはQRコードが
↑ 子供が道の中央に。サッカーボールを拾おうとして、思わず飛び出したのだろう。そして背中にはQRコードが

そこでそのQRコードをスマートフォンで読み取り、雑誌の広告を見直すと、道路から子供がきれいさっぱりと消えてしまう。「あれ、どうして?」と思いスマートフォンを良く見ると「スマートフォンを使っていると、道路にあるものが見えなくなる(目に留まらなくなる)ものですよ。運転しながらテキスティングはしないで下さいね」とのメッセージが描かれている。

↑ QRコードを読み取ると少年が道から消える。そして「スマートフォンを使いながらの運転をしていると、存在するものが見えなくなりますよ。操作しながら運転しないでね」との警告が
↑ QRコードを読み取ると少年が道から消える。そして「スマートフォンを使いながらの運転をしていると、存在するものが見えなくなりますよ。操作しながら運転しないでね」との警告が

つまり、現実には道路の真ん中に子供がいる。普通に運転していれば、そのまま目に留まるので、危険を察してハンドルを切ったりブレーキをかけられる。ところがスマートフォンを操作しながらだと、たとえ視界に入っていたとしても注意がそこまで及ばず、あるいは目に留まらなくなり、見えないのと同じ状態になってしまう。それをシンプルに、しかも具体的にビジュアル化して見せた次第。目には入っていても、注意を払っていなければ見えないのと同じ。それがどういうことなのかが、よく分かる広告となっている。

同じような切り口で、道の中央に牛がいるパターンのものも用意されている。


↑ 牛が道の真ん中に。でもスマートフォンを操作しながらでは、やはり見えていないのと同じに……
↑ 牛が道の真ん中に。でもスマートフォンを操作しながらでは、やはり見えていないのと同じに……

子供と比べてサイズは大きいものの、やはりスマートフォンでメールやチャット、ソーシャルメディアでのやり取りに夢中になると、同じように「見えていないのと同じ」状態に陥りかねない。「見えない、見ていないのと同じになる」状態を、本当に「見えない」状態として表現し、それをその原因となるメディアを介して「見せる」あたり、上手い切り口の啓蒙広告ではある。


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