「正規の仕事が無いから」非正規の職についた人は約2割(労働力調査・2013年第1四半期速報)
2013/05/16 07:55
総務省統計局は2013年5月14日、労働力調査のミニトピックスとして「非正規の職員・従業員がその雇用形態についた主な理由」を公開した。労働力調査において2013年1月から追加された調査事項のうち「非正規雇用についた理由」のデータに関する速報値などが記されており、注目すべき内容となっている。今回はこの速報値などを簡単にではあるがまとめてみることにする(【労働力調査公式ページ】)。
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2013年1-3月期平均における、非正規職員・従業員は男女合わせて1870万人。そのうち「現在の雇用形態(=非正規雇用)についた最も主な理由」別人数内訳は次の通り。最多回答数を占めたのは「自分の都合の良い時間に働きたい」で418万人、次いで「家計の補助・学費などを得たいから」が390万人、「正規の職員・従業員の仕事がないから」348万人と続いている。
↑ 非正規職員・従業員がその雇用形態についた主な理由別人員内訳(択一回答)(万人、2013年1-3月期平均)
もっとも、男女で事情は大きく異なる。男性は「正規の職員・従業員の仕事がないから」が最多回答で171万人、次いで「自分の都合の良い時間に働きたい」の120万人だが、女性は「家計の補助・学費などを得たいから」324万人・「自分の都合の良い時間に働きたい」298万人が上位についており、フルタイムの労働が難しい主婦の事情を反映したものとなっている。
これをさらに世代別に区分した結果が次のグラフ。なお上記グラフ一番右にある選択肢「非回答など」は除いた比率上で算出した値であることに注意されたい。
↑ 非正規職員・従業員がその雇用形態についた主な理由別人員内訳(択一回答)(2013年1-3月期平均)(性別・世代別・具体的回答者内比率)
注目すべきなのは男性若年-中堅層における「正規の職員・従業員の仕事がないから」の回答率。15-34歳の34.0%よりも、35-54歳の49.1%の方が15%ポイントほども高い。男性・35-54歳の非正規雇用者のうち半数近くは「本当なら正社員として働きたいが、その仕事が無いので仕方なく非正規雇用についている」ことになる(「男・35-54歳"全員”のうち半数近く」では無い事に注意)。もっとも男性の場合15-34歳でも1/3強が「正規の仕事が無いので仕方なく非正規雇用」状態にあり、無視できない高い値には違いない。
他方、定年退職を迎えたと考えられる65歳以上になると、多くは「自分の都合の良い時間に働きたい」「家計の補助・学費などを得たいから」となり、「家事・介護・育児などと両立しやすい」をのぞけば女性の比率に近い形を見せている。
女性は「家事・介護・育児などと両立しやすい」の回答率が高く、パートやアルバイトへの従事が容易に想像できる。また「家計の補助・学費などを得たいから」の回答率も高く、配偶者の収入をサポートしたい・せざるを得ないお財布事情が見えてくる。
今件調査結果は四半期ベースでの結果であり、季節的要因が考慮されていない値なことから、今後の調査次第で大きな変化が生じる可能性がある。来年に発表される年ベースでの労働力調査を精査する際には、新規にこの項目も取り上げることにする予定だ。
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