単身4.6年・二人以上4.5年…携帯電話の買い替え年数(最新)
2024/10/14 02:34
携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォン双方)の進化・多様化は月単位で進んでおり、携帯電話事業者各社は四半期毎に大量の新型モデルを展開し、利用者の購入・買い替え意欲をかき立てさせる。また、従来型携帯電話からスマートフォンへのシフトに代表されるように、利用スタイルどころかライフスタイルですら大きく変えさせるレベルの変化を見せる動きも起きている。今回は内閣府が2024年4月9日に発表した【消費動向調査】の2024年3月実施分の調査結果を基に、「携帯電話の買い替え年数」の現状を確認していくことにする。
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買い替えは4年台、単身世帯が長めの傾向
消費動向調査は毎月調査を実施しているが年1回、3月分において、他の月よりは細部にわたる内容を調査項目としている。その中の項目の一つ「主要耐久消費財の買い替え状況」が今回スポットライトをあてる対象。これは「対象品目を回答年度(今回の場合は2023年4月-2024年3月)に買い替えをしていた場合、買い替え前の商品はどれだけの期間使っていたか」を尋ねた結果。つまり直近の買い替え実施者における「買い替えまでの年数」が示されることになる。もちろん新規に購入した場合や、買い替えが該当時期でなかった場合は回答に加わらない。
今回は従来型携帯電話以外にスマートフォンも含めた携帯電話全般の買い替え年数を抽出する(普及率などは両者の区分が行われているが、買い替えの項目では今なお「携帯電話」全体でひとくくりで計測されている)。世帯区分別では「単身世帯」と「二人以上世帯」、そしてそれを合わせた「総世帯」の3つが用意されているが、長期時系列データが保存されているのは二人以上世帯(以前は「一般世帯」と表記されていた)のみ。そこでまずは二人以上世帯における、買い替え年数推移をグラフ化する。
↑ 携帯電話買い替え年数(二人以上世帯、年)
長らく買い替え年数が延びていた携帯電話だが、2012年にはじめて値が前年比で縮小する動きを見せた。2013年でも縮小を続けたが、これは従来型携帯電話が十分使用に耐えられる(老朽化していない)状況でも、スマートフォンへの買い替えを行う人が増えた結果によるもの。しかし2014年以降はこの縮小の動きから転じて再び延びはじめている。直近の2024年では前年比で延びて4.5年に。2017年以降に限れば、4.4年前後を行き来しているようにも見られる。
これを単身世帯の動向と重ねてグラフ化したのが次の図。
↑ 携帯電話買い替え年数(世帯種類別、年)
全般的には単身世帯の方が、わずかではあるが買い替え年数は長くなる傾向がある。家族割引制度などが使えず割高となりがち、そして本体買い替えの際の出費がより「懐に痛い」単身世帯では、買い替えの決断に躊躇してしまう、できるだけ長期間使い続けようとする意図が働いたものと考えられる。最近では2012年、そして2020年で逆転現象が起きているが、これは多分にイレギュラーとしての動きと思われる(2022年は同じ年数だった)。
経年推移を眺めてみる
次のグラフは二人以上世帯・単身世帯それぞれの属性における、過去10年間の買い替え年数推移をまとめたもの。なお2014年分から大本の消費動向調査では、買い替え年数の調査結果において、年齢階層区分がこれまでよりも細分化(10歳区切り)されることなり、データの連続性が取れなくなってしまっている。そこで29歳以下・30-35歳・60歳以上に該当する年代区分の結果を基に当方で加重平均化を行い、元の区分に合致する値を算出し、グラフに反映させている。これは他の消費動向調査関連の記事でも変わらない。
↑ 携帯電話買い替え年数(二人以上世帯、属性別、年)
↑ 携帯電話買い替え年数(単身世帯、属性別、年)
二人以上世帯では買い替え年数が長期化していたのが分かる。前倒し派のスマートフォン購入が(グラフには反映されていないが2013年ぐらいまでで)ほぼ終わり、従来型携帯電話を頑なに使いつつけてきた人たちのシフトによるもののようだ。もっともこの数年では全体値を見ると横ばいに移行したようだが、59歳までの間では引き続き延びているように解釈できる。
単身世帯でもややばらつきはあるものの、属性による違いなく少しずつ伸びを示していたようだ。そしてこの数年では全体値で横ばい、59歳までで延びているのも、二人以上世帯同様。ただし単身世帯では、女性と60歳以上において、横ばいどころか短くなっているようにも見える。
変化を見せる買い替え理由
最後に「買い替え理由」を二人以上世帯・単身世帯それぞれについて確認する。二人以上世帯では「上位品目」が2014年をピークに年々減り、「故障」「その他」が増加。その動きは緩やかながらも2020年まで続き、数年のインターバルをおいて2023年から再開。単身世帯では2015年を底に「上位品目」が増加する動きの中にあったが、2023年以降は減る動きを見せている。
↑ 携帯電話買い替え理由(二人以上世帯)
↑ 携帯電話買い替え理由(単身世帯)
元々携帯電話は流行を追い求められやすい(アクセサリー的な使われ方をする)、そして技術進歩が加速度的なことで、短期間(多くは四半期単位)で高性能な機種が続々発売される傾向があるため、「上位品目」の値が高い。しかし二人以上世帯では顕著だが、2014年以降は「上位品目」の値が減少する動きを見せた。従来型携帯電話からスマートフォンへの買い替えを強く求める層の前倒し需要の消化が進み、通常のパターンに戻ってきたと解釈すれば道理は通る。つまり、買い替えブームが過ぎたということ。今件はあくまでも「買い替えをした人における」理由比率であることに注意しなければならない。
ただし単身世帯では2016年以降、二人以上世帯でも2021年以降、再び「上位品目」の値が増加していた。最新型のガジェットを手に入れる感覚で趣味的に買い替える人が増えているのだろうか。2023年以降では単身世帯・二人以上世帯ともに「上位品目」の値が前年比で減少する動きを示している。スマートフォンがファッションアイテム的なものとしてではなく、日常生活上の必需品としてのポジションを占め、上位品目の登場への注目がさほど集まらなくなったからだろうか。
冒頭でも触れた通り、消費動向調査においては機種項目区分で「タブレット型端末の導入」「携帯電話をスマートフォンとスマートフォン以外(従来型携帯電話)に分離」などの変更が行われている。しかし今件買い替え年数動向は、これまで同様携帯電話全般としての算出が続いている。今後さらにスマートフォンへのシフトが進む一方、高齢層などでは従来型携帯電話の需要が手堅いまま継続している動きも確認されていることから、買い替え理由においても携帯電話の細分化を願いたいものだ。
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