年齢階層別・自転車乗車中の交通事故死者数推移(最新)
2025/03/31 02:39


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漸減中の自転車事故死者数
交通事故全体における死者数などは以前【年齢層別の交通事故死者数】で精査した通りだが、今回は特定条件下(自転車乗車中)におけるものをカウントすることになる。
まずはデータが取得可能、あるいは過去の記事から参照できる2005年以降(2016年発表時より公開フォーマットが大規模に変更され、2015年発表分までの値との互換性は無くなっている)における、自転車乗車中の死者数推移(対自動車によるものが多いが、対歩行者・対二輪車・自転車相互・自転車単独までも含めた合計値)。直近年となる2024年分は、該当者の年齢階層別の状況も別途グラフ化している。なお各グラフはすべて、記事執筆時以降に修正された値が確認できる場合は、その更新された値のものに差し替えている。

↑ 自転車乗車中の交通事故死者数

↑ 自転車乗車中の交通事故死者数(年齢階層別)(2024年)
2005年以降は緩やかながらも、そして時にはイレギュラー的な前年比増の動きを見せながらも、減少傾向にあった自転車乗車中の交通事故死者数。日本の総人口は漸減しているが、その減り方を大きく上回る形での減少傾向で、明らかに交通法規の順守浸透度合いの改善、啓蒙や規制の強化、さらには医療技術の進歩など、各方面の状況改善による結果が出ていると判断できる。
直近年の動向を見れば分かる通り、自転車乗車中による交通事故死者数もまた、他の状況下におけるものと同様、高齢者が対象となるケースが多い。年齢階層別で見ると50代後半から増加の動きがあるが、そして70代以降で大きく増加しているのが分かる。老化による運転不注意が生じやすくなるのに加え、この年齢階層の人口そのものが増加しているのが要因と考えられる。
高齢層は減り方がゆるやか
それではこれを大まかな年齢区分、具体的には未成年(19歳以下)・成年(20-64歳)・高齢層(65歳以上)に区分、その動向を確認する。人数そのものの推移に加え、各年の全体に占める比率の推移も精査する。

↑ 自転車乗車中の交通事故死者数(積み上げグラフ、主要年齢階層区分別、人)

↑ 自転車乗車中の交通事故死者数(主要年齢階層区分別、比率)
高齢層はもみあいを見せながらも比率の上では増加傾向にある。つまり高齢層の人数そのものが増えていることもあり、他の年齢層と比べて死者数の減少率が小さく、結果として死者数全体における比率が増加した形である。2011年を最後に6割を切ることはない。それどころか2020年でははじめて7割に届いてしまった(この数年では比率は減少の動きを示していたが)。
一方未成年や成年は人数、比率ともに漸減傾向にある。ただし成年は2010年以降は30%を行き来し、横ばいの気配も見せている。ここ数年では20%台後半、さらに2020年-2021年では25.5%と20%台半ばにまで落ち込んだが、2023年では36.1%と記録のある中では最大値を示してしまった。詳細を見ると、該当階層内の高齢層に当たる55-59歳と60-64歳において、大きな増加が生じたのが原因。一方、直近の2024年では25.7%と大きな減少を見せる形となった。
これらは死者数の絶対値の動向だが、次に示すのは各年齢階層における人口10万人あたりの該当数。この数が大きいほど、その年齢階層で自転車乗車中に命を落とす人の割合が高いことになる。例えば20代前半の2024年における値は0.10とあるので、20代前半の人が10万人いると、そのうち0.10人が2024年に自転車乗車中に亡くなったことになる。

↑ 自転車乗車中の交通事故死者数(各年齢階層人口10万人あたり、年齢階層別)(2005年と2024年)
現時点で値が取得可能な最古のものとなる2005年の分を併記したが、未成年者ではおおよそ大きく減少し、環境の整備や啓蒙などが進んでいることがうかがえる。また高齢層も割合としては大きく減っているが、元々の値が大きいことから、減った上でも成年や未成年と比べると大きいのには違いない。
そして高齢層の人数そのものが増加しているのはご承知の通り。従って対10万人比で減少する、環境整備や啓蒙の浸透、医療技術の発展などがなされても、絶対数そのものの減少度合いがゆるやかなまま、そしてさらには横ばいにシフトしてしまう次第ではある。

事故が起きれば本人だけでなく、巻き込まれた人もまた大きな悲しみを背負うことになる。自分自身はもちろんだが、せめて自分の身の回りの人には、「自転車における無理な運転」は慎むように声をかけてほしいものだ。
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