口コミ一番、詳しく調べるのはデジタルが上…米の友達・家族からのニュース取得状況を探る(SNM2013版)

2013/04/22 07:55

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口コミ2013年3月18日にアメリカの調査機関【Pew Research Center】は、デジタルや非デジタルでのアメリカ合衆国内におけるニュースメディアの動向、さらには展望に関するレポート【State of the News Media 2013】を発表・公開した。現状と将来展望を同社の調査結果、さらには公的情報や他調査機関のデータを合わせてまとめた「米デジタルニュース白書」のようなもので、価値あるデータが数多く盛り込まれている。そこで先日の【米主要メディアにおける視聴者数の動きなど(SNM2013版)】をはじめ、気になる要項を抽出し、グラフの再構築などを行い、現状の把握と共に、今後の記事展開の資料構築も兼ねる記事展開をしている。今回は「日々のニュースの取得元としてもっともよく使われているルート」を見ていくことにする。



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一連のレポート内容のうちPew Researchの調査結果を基にした部分の中で、2013年に行われたのは、2013年1月24日から27日、そして2月7日から10日に渡り、アメリカ合衆国内に居住する18歳以上の男女に対して、音声会話による電話インタビュー方式で行われた。有効回答数は2009件。固定電話での回答は1003件、携帯電話は1006件(そのうち固定電話非保有者は512人)。各統計結果は国勢調査の結果を基に、ウェイトバックが行われている。

まずは日頃友達や家族から見聞きしているニュースにおいて、どのルートからの取得がもっとも多いかという設問の答え。「最大利用手段」としては、「口コミ」が最多回答率を占め、その値は72%という結果となった。

↑ 日々のニュースを友達や家族から得ていると思いますが、その場合どのようなルートからのものが一番多いですか(2013年)
↑ 日々のニュースを友達や家族から得ていると思いますが、その場合どのようなルートからのものが一番多いですか(2013年)

この「口コミ」には直接対面してのもの以外に、電話によるものも含まれる。また、あくまでも「”もっとも”使われている」ものであり、例えば「電子メールで友人や家族からニュースを取得している人は7%しかしない」を意味するものではないことに注意。ともあれ、家族・友人経由で一番よく使われているニュース入手ルートとしては、断トツで「口コミ」が多い。

「電子メール」で友人や家族からニュースを一番よく得ている人は7%。「ソーシャルメディア」が15%で、「電子メール」の2倍近い。身近な人とのコミュニケーションツールとしても、今やソーシャルメディアが主流であることをうかがえる結果といえる。

これを属性別に見ると(男女別の値は残念ながら元記事には無い)、若年層・高学歴・高年収の方が口コミ率は低く、ソーシャルメディアや電子メールの回答率が高い。

↑ 日々のニュースを友達や家族から得ていると思いますが、その場合どのようなルートからのものが一番多いですか(2013年)(属性別)
↑ 日々のニュースを友達や家族から得ていると思いますが、その場合どのようなルートからのものが一番多いですか(2013年)(属性別)

世代別ではひとえに「普段デジタルデバイスを使いこなしているか否か」の差が出ている。モバイル端末などに慣れている若年層は「ソーシャルメディア」の利用を最上位に挙げる人が圧倒的に多い。中堅層になると「口コミ」率が上がると共に、デジタルルートの中でも組しやすい「電子メール」の値が増えていくのが興味深い。

年収別・学歴別では世代別以上に、各層の差異が出ている。特に大卒や年収7万5000ドル以上の層では、「口コミ」を最上位に挙げる人は7割を切っている。しかも双方で傾向は似通っている。これは概して個々の特性によるものというよりは、高学歴ほど高年収になりやすいという連動性の結果が出ていると考えた方が道理は通る。具体的データは無く、またそのような状況は考えにくいが、「18-29歳」「大卒」「年収7.5万ドル以上」という区切りを行えば、「電子メール」や「ソーシャルメディア」への回答率は格段に上昇するだろう。

さて友人や家族から「口コミ」などで把握したニュースだが、それで満足して終わりにするか、それともより詳細な情報を求めるだろうか。要は取得ニュースの完結性・掘り起し度のようなものだが、意外にも「口コミ」よりも「ソーシャルメディア」「電子メール」で得た情報の方が「さらに詳しく調べる」人は多いとの結果が出ている。

↑ 友達や家族から日々のニュースを得る手段としてもっとも多いルートから見聞きしたニュースについて、より詳細な情報をどの位の頻度で取得しているか
↑ 友達や家族から日々のニュースを得る手段としてもっとも多いルートから見聞きしたニュースについて、より詳細な情報をどの位の頻度で取得しているか

これは個々のニュースの媒体・ツールとしての特性に特徴があるのかもしれない。「口コミ」は発した側にさらなる情報を求めることは難しい。また、聞きたくても相手へ配慮してしまうかもしれない。さらに発している側から直接見聞きしたことで、満足してしまう面もあるのだろう(見方を変えれば「リアル」はそれだけ説得力のある手段ともいえる)。書物やネットで調べるにしても、ワンクッション置かねばならない。あるいは口コミで聞くことで納得してしまい、探究心が薄れている面もあるかもしれない。

口コミとソーシャルメディアの利用と一方デジタル系のルートでは、発信側への気配りは必要無く、詳細な情報を求める手段は数多く用意されている。新聞社の報道を目にし、あるいは掲示板による速報を見て、YouTubeなどで該当動画を探したり、文面に出てくる固有名詞の意味を検索する「ニュースの掘り起し」行為は、誰もが少なからず経験しているはず。

口コミとデジタルメディア。ニュース配信手段としての方法論の違い以外に、受け取り側のニュースへの姿勢にも違いが見えてくる。ニュースのデジタル化の浸透に伴い、ニュース配信が飛躍する可能性の一つとして、重要視する傾向といえよう。


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