一人身のシニアは若者よりもコロッケが好き…年齢階層別・単身世帯のコンビニ系惣菜の支出比率(家計調査報告(家計収支編))(最新)
2024/09/24 02:30


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コロッケは意外にシニアが買っている
家計調査の年次データからコロッケなどいくつかの揚げ物、そして惣菜関連についてピックアップし、年齢階層ごとの購入金額をチェックすることで、個々の食材の利用度合いを確認する。それぞれの対象項目について【収支項目分類およびその内容例示(令和2年1月改定)】(現時点で最新版)から説明を抽出すると次の通りとなる。
・コロッケ……生も含む。冷凍食品は含まない。
・カツレツ……トンカツ、ビーフカツ、チキンかつ、一口かつ、ささみフライなど。肉に限り、生も含む。冷凍食品は含まない。
・天ぷら・フライ……一般の天ぷら、くしカツ、ポテトフライ、ハムカツやメンチカツ(コロッケとは別物であることに注意)、フレンチドッグやアメリカンドッグ、から揚げを含む。生も含むが冷凍食品は含まない。
・やきとり……つくね、レバー、はつも含む。生も含む。冷凍食品は含まない。
・冷凍調理食品……各種調理食品の冷凍品。
・そうざい材料セット……夕食材料セット、ファミリーセット、おでんや鍋料理の材料セット。店頭売り、宅配を問わない。
・他の調理食品のその他……肉のつくだ煮、焼肉、焼き豚、焼きフランクフルト、魚の照り焼き、きんぴら、サラダチキン、各種料理の素(釜飯の素など)レトルト食品、チルド食品、折詰料理、調理食品の詰め合せ、各種缶詰など(中身の主成分が魚介類または肉類である缶詰や瓶詰は含まれない)。
また、家計調査では単身世帯の年齢階層の区分について、34歳以下(若年層)・35-59歳(中年層)・60歳以上(高齢層)に区分している(65歳以上の特化区分もあるが省略)。そこでこの年齢区分に従い、各種計算をしていく。
まずは月次換算をした、単身世帯・各年齢階層の食費総額。単身世帯であることから当然、世帯主本人のための購入になる。今件だけでなく、単身世帯の平均食費代として参考にできそうな値ではある。

↑ 単身世帯の食費(月あたり、年齢階層別、円)
月5万円前後だが若年層がやや低め。経年推移を見ると、ここ数年は増加傾向にあり、直近の2023年では大きな増加をしたように見える。2020年における若年層と中年層で生じた大きな減少は、新型コロナウイルス流行の影響で外食機会が大きく減ったことによるものであると考えられる。2021年以降に持ち直しの動きがあるのは、外食機会が増えたからだろう。35-59歳では新型コロナウイルス流行直前の2019年の値すら超えている。
続いて月あたりに換算をした、各項目の支出金額。年齢階層別の購入性向に大きな違いがあるのが分かる。

↑ 単身世帯の該当食費項目の支出金額(月あたり、年齢階層別、円)(2023年)
今回揚げ物と惣菜にスポットライトを当てたのは、コンビニ系食材と銘打った通り、双方ともコンビニやスーパーなどではお馴染みのお手頃食材の代表格であり、自宅に持ち帰って食べる中食の商品であること、特にフライ系は若年層が購入するイメージが強いとの実情を起因としている。そして単身世帯を対象としたのは冒頭で解説の通り、購入性向の対象が明確化できる点に加え、今後世帯全体比で単身世帯の比率が増えること、さらには若年層・高齢層ともに単身世帯における食生活の動向が、小売各社の店頭展開・食品メーカーの商品開発にも浅からぬ関連・影響があるからに他ならない。

今結果を見る限り、惣菜の棚からの購入・レジ横ケースを見ながらの注文など、調達ルートは一つではないものの、コロッケは若年層や中年層より高齢層の方が支出金額は上。カツレツも若年層と比べれば高齢層は大いに購入している。「高齢者は油系の食材を苦手としている」とのイメージは、あくまでも想像上のものでしかない。
中食の浸透とともに注目を集めている冷凍調理食品のその他も、高齢層の支出金額は大きめ。調理そのものの手間をかけたくない高齢者の需要に、各種調理済みの惣菜は適している。
サラダややきとりはコンビニにおける販売で大いに注目を集めている。両品目とも中年層がもっともよく購入しており、高齢層は中年層と比べて少なめ。仕事で時間に追われた中年単身層が、気軽に食べることができる、そして栄養バランスも気になる際の選択として手に取っているようすが想像できる。特にサラダは元々単価が高いのも一因だが、中年層においては天ぷら・フライに肩を並べるほどの支出金額を示しており、注目に値する。
食費全体に占める割合は?
各食材の支出額を、各年齢階層の食費全体に占める比率でグラフ化したのが次の図。

↑ 単身世帯の該当食費項目の対食費全体比(年齢階層別)(2023年)
金額同様に高齢層の購入性向の高さが再認識できる。「他の調理食品のその他」だけで食費全体の5%近く。
他方、これらの値をすべて足すと、若年層は6.84%、中年層は8.64%、高齢層は8.75%。コンビニ系食材には若年層や中年層よりも高齢層の方が、金額面でも食費全体に占める割合でも傾注している実態が見えてくる。また中年層も若年層と比べれば、コンビニ系食材に傾注している度合いが大きいようだ。
今後単身高齢者の人数が増えることは間違いない。昨今問題視されている「買い物困難者」も、主に単身高齢世帯者の増加が対象となっている。そして毎日の食生活を支える存在として、スーパーやコンビニなどの食品販売店は言葉通り「ライフライン」としての立ち位置を強めていく。
各店舗側も今件のコンビニ系食材のように、世間一般のイメージと異なる商品需要も含め、多様な需要の変化に対応していくに違いない。特にコンビニでは、そのリサーチ能力をフルに活かし、各種対応を逐次行っているように見える。その対応が引き起こすドミノ的影響とともに、今後も注視を続けたい。
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