年々変わる「スマートフォンを使う理由」、あまり変わらない「使わない理由」(2015年)(最新)
2015/04/11 10:00
先に【未使用者の「欲しいスマホ」はiPhoneに軍配、女性はAndroidの2倍も「iPhoneがホシイ」】などでライフメディアのリサーチバンクによるスマートフォンに関する調査結果を取り上げた。今調査は2010年以降毎年継続的に実施されており、経年変化を知ることができる。今回は各年分の調査結果を抽出し、スマートフォン利用者におけるその利用をはじめた理由、そして非使用者の使わない理由の推移について見ていくことにする(【発表リリース:スマートフォンに関する調査(2015年)】)。
スポンサードリンク
今調査の最新版である2015年分は同年3月27日から4月1日にかけてインターネット経由で10代から60代の全国男女に対して行われたもので、有効回答数は1200件。男女比・10歳区切りの世代構成比は均等割り当て。他年の調査もほぼ同一条件で実施されている(2010年のみ年齢区分無し)。日本の人口構成比によるウェイトバックはかけられていないことに注意。
以前別記事で記したが、年々スマートフォンの非使用者率は減っていく傾向がある。一方で非使用者における「スマートフォンを使うつもりはない」人の割合は増加の一途をたどっている。これはスマートフォンの必要性に関して弱い否定感を抱いていた人が状況の変化などで心境がシフトし、利用し始める一方、強い否定感を持つ人はそのまま非利用状態を維持しているため、非利用者における「今後も使わない」率が高まりつつあるのが原因。要は、より洗練されていく状態。
↑ 現在スマートフォンを使っているか(複数回答、2011年-2015年)(再録)
それではスマートフォンを現在使っている人における、スマートフォン調達理由はどのような変化を遂げているのだろうか。最上位には「パソコン(PC)サイトの閲覧がしたい」がついており、これは経年変化でもトップに違いはない。
↑ スマートフォンを購入した利用は(複数回答、スマートフォン使用者限定、2010年-2015年)
インターネットや各種アプリケーション(例えば表計算やPDFファイルの閲覧)を、場所が固定されるデスクトップパソコン、あるいは機動力はあるものの手軽さには欠ける、そしてコストが高めなノートパソコンではなく、お気軽なモバイル端末で使いたい。その想いをスマートフォンで実現したいとの考えを持つ人は多い。
第4位の「タッチスクリーン」、第5位の「大きな液晶画面」は、多分に従来型携帯電話(フィーチャーフォン)使用者におけるスマートフォンへの憧れの面がある。これらの機能があれば、もっと楽に、使い易くなるのにとの想いが実体化しているのがスマートフォンに他ならない。もっとも、元従来型携帯電話利用者によるスマートフォンへのシフト派が比率的に減る、つまり携帯電話としては最初からスマートフォンを利用していた人の増加に伴い、これらの項目への回答率は減少傾向にある。
それ以外でも、「パソコンサイト閲覧希望」「家族や友人が持っている(2012年から設問開始)」以外は一様に回答率が減少しているのは気になるところ。明確な目的意識の上でスマートフォンを調達した人が減り、「パソコンのサイトを移動中でも見たい」以外はブランドアイテム的に「周囲の人が持っているので、自分も持たないと時代の流れに取り残される」との考えによる利用者が増えていると考えられる。見方を変えれば、それだけスマートフォンが一般化したことをも意味している。
他方、回答時点でスマートフォン非利用者のうち、今後も購入・利用するつもりがない人における「スマートフォンを使いたくない理由」は、経年変化があまり生じていない。
↑ なぜスマートフォンを利用したいと思わないのか(複数回答、回答時でスマートフォン非使用で、利用したいと思わない人限定、2010年-2015年)
あえて違いを見出すとすれば、「モバイル端末自体が不要」「アプリを利用したいと思わない」「気に入ったデザインではない」が減り、「利用料金が高い」が増加している。見方を変えれば、スマートフォン非利用者も、アプリやモバイル性への魅力を覚える人は増えてきたが、それでも料金の高さや過度な機能の実装に及び腰となっている状況が推測できる。
先日発売された「AQUOS K」に関する記事【スマホ的な従来型携帯「AQUOS K」なるものが登場するようだ......ってこれスマホか!?】でも言及の通り、他調査や市場動向を見ても、スマートフォンを利用しない層の多くは、その利用料金の高さを敬遠している向きがある。トップ回答率の「普通の携帯電話で満足」、第4位の「パソコンのような機能は携帯電話に不要」も、コストパフォーマンス(費用対効果)との点では、コスト意識の表れとも見ることが出来る。
スマートフォンを使うつもりがない人にも、今後スマートフォンを普及浸透させたいと、携帯電話の関連業界が考えているのなら、利用のしやすさ、操作系はもとより、安価に、多分に従来型携帯電話と同程度で使える仕組みが必要なようだ。
■関連記事:
【6割は携帯の通話定額「いらない」、理由は「通話しない」「無料アプリで十分」】
【電話料金と家計支出に占める割合】
【ナルホド納得、携帯電話の利用料金を減らすための工夫たち】
スポンサードリンク