外食全般、そしてハンバーガーは? 単身・二人以上世帯における外食利用性向(家計調査報告(家計収支編))(最新)
2024/09/19 02:39
先行する記事【中食系主食の購入動向(家計調査報告(家計収支編))】でおにぎりやお弁当など、いわば中食系の食材について、二人以上の世帯と単身世帯それぞれにおける消費性向との観点から、2024年2月6日にデータ更新(2023年・年次分反映)が行われた【家計調査(家計収支編)調査結果】から取得した各種公開値を基に精査を行った。今回はそれら中食系の食材に関する精査記事と深い係り合いがある、単身世帯と二人以上世帯における外食利用性向について、2023年分の家計調査の値を基に確認をしていくことにする。
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単身世帯は月7.8回、二人以上世帯は月8.3回ほど外食をする
次以降のグラフは家計調査報告(家計収支編)の二人以上世帯・単身世帯の公開値から、必要なデータを抽出して作成したもの。なおグラフ中や文中に登場する購入世帯率や世帯購入頻度などの言葉の意味は、先行記事【週刊誌や雑誌、書籍の支出金額(家計調査報告(家計収支編)・総世帯版)】などですでに解説済みなので、そちらを参照のこと。
また二人以上世帯の場合は外食の下層区分に一般外食と学校給食が存在する(単身世帯は外食のみ。世帯主本人が学校給食を摂るケースは想定し難い)。そこで今回は一般外食に限定する(今記事のグラフでは「一般外食」に表記を統一する)。さらにはその下層区分に含まれるハンバーガーや他の主食的外食を代表的な細部項目として取り上げる。具体的な区分内容は【収支項目分類およびその内容例示(令和2年1月改定、現行で最新版)】では次の通りに説明されている。
なお飲食店により提供された飲食物は、出前、宅配、持ち帰りの別にかかわらず、すべて今件外食に該当する。例えばハンバーガー店でのテイクアウト品も今回の外食扱いになる。
まずは月あたりの世帯購入頻度。単身世帯は当然本人自身のみだが、二人以上世帯の場合は夫か妻の片方どちらか、さらには子供が購入しても(子供の小遣いでの調達までは「家計」としてカウントできないので、「世帯全体のお財布から買った」もののみ)購入した世帯として該当することになる。
↑ 外食全般と主要品の世帯購入頻度(月あたり、世帯種類別)(2023年)
月あたり単身世帯は平均で7.8回、二人以上世帯は8.3回ほど(一般)外食を利用している。上記説明にもある通り、実質的には宅配、中食(的なもの)も含まれるので、感覚的にはあながち的外れでもあるまい。他の主食的外食の利用頻度は単身世帯の方が多く、一人暮らしの食生活事情が透けて見える。
ハンバーガーは月ベースで1回足らずと少なめな値。しかし今件は単身世帯全体・二人以上世帯全体における結果であり、若年層だけでなく高齢世帯も含まれていることを思い返せば、理解はできる。
↑ 外食全般と主要品の世帯購入頻度(前年比、世帯種類別、ppt)(2023年)
前回年となる2022年の値と比較すると、二人以上世帯のハンバーガー以外は増加。特に一般外食での増加が著しい(両種類世帯とも月あたり1回分以上は増加している)。新型コロナウイルス流行による影響がまだ根強かった2022年と比べると、外食に人が戻りつつあるということだろうか。ハンバーガーに関しては、事実上誤差のレベルで、前年比変わらずと見てよいだろう。
支出金額ベースで見ていくと
これを支出金額ベースで見たのが次のグラフ。一応二人以上世帯では比較のために一人あたりの値も試算して、グラフを併記しておく。「一応」としたのは人数のカウントには子供も含まれるため、それを合わせた上での平均化の値は、成人が対象となる単身世帯とは、厳密な上での比較はできないからである(18歳未満人員の平均値もカウントされているため、その値に子供係数として0.5などをかけ、残りの世帯人数分を大人として換算する手法も考えられるが、現実的ではない。子供係数次第で数字が大きくぶれてしまう一方で、係数の正当性を見出す手法が無いからである)。
↑ 外食全般と主要品の支出金額(月あたり、世帯種類別、円)(2023年)
↑ 外食全般と主要品の支出金額(月あたり・一人あたり、世帯種類別、円)(2023年)
世帯ベースでは単身世帯より二人以上世帯の方が高い値を示している。しかし一人あたりの金額で比較すると、すべての区分で単身世帯の方が高い値となる。いかに単身世帯の食生活が外食(中食含む)に支えられているか、その少なからずが他の主食的外食、具体的にはファミレスなどによるものなのかが分かる。また、ハンバーガーは世帯全体としては、まだその他の食品レベルの頻度でしか食べられていないようだ。
前回年となる2022年からの変移は次の通り。
↑ 外食全般と主要品の支出金額(前年比、月あたり、世帯種類別、円)(2023年)
世帯種類を問わず増加を示している。新型コロナウイルス流行の影響で外食が避けられた前年と比べ、回復の動きを見せているのだろうか。もっとも、昨今の動向を思い返す限りでは、商品価格の値上げも少なからず影響しているようだ(例えば一般外食の世帯購入頻度は世帯種類を問わず月1回強分増加しているが、支出金額の増加はそれ以上のものとなる)。
ちなみに一般外食が食費に占める割合は、2023年では二人以上世帯が約16%なのに対し、単身世帯は約25%にもおよぶ。他の主食的外食に限ればそれぞれ約5%、約8%となる。
外食の利用機会、支出金額が増加しているのは、先行記事で言及の通り、中食の利用拡大と併せ、食事のアウトソーシングの傾向が強まっていると考えてよいのだろう。時間や手間を対価で手に入れる手法が外食なり中食であるというまでの話ではある。また2023年の動向は、新型コロナウイルスの流行により大きな影響を受けた外食産業が、回復傾向のさなかにあるのとともに、ロシアによるウクライナへの侵略戦争で生じた資源高騰を起因とする物価高の影響を受けていると見てよいだろう。
全体の消費性向の経年推移は機会を改めて検証するが、外食産業各方面の関連する項目の動きも合わせ、今後も外食の利用性向に注目したいところだ。
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