世代で大きく差が出る「震災後、強く意識するようになったこと」
2013/04/12 14:45
内閣府は2013年4月1日、社会意識に関する世論調査の結果を発表した。それによると調査時点の同年1月時点において、2011年3月に発生した東日本大地震・震災以降、強く意識するようになった項目として、選択肢の中でもっとも多くの人が同意を示したのは「家族や親戚とのつながりを大切に思う」だった。64.5%の人が同意を示している。次いで「地域でのつながりを大切に思う」が60.0%で続いている。世代別に見ると、「家族や親戚-」は若年層ほど高い値を示すが、「地域での-」は50-60代の壮齢層がもっとも高い回答率を見せている(【発表リリース】)。
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今調査は2013年1月24日から2月10日にかけて、全国20歳以上の日本国籍を持つ人の中から層化2段無作為抽出法で選ばれた1万人を調査対象としたもので、有効回答数は6091人。調査方法は調査員による個別面接聴取法。男女比は2857対3234、世代構成比は20代470人・30代835人・40代953人・50代978人・60代1397人・70歳以上1458人。
2011年3月に発生した東日本大地震・震災により、物理的のみならず心理的にも大きな被害・影響を受けたことで、人々の多くは震災前と比べてさまざまな変化を覚えるようになった。今件項目ではそのような、心理上の変化について尋ねている。いくつかの選択肢を提示し、心理変化があったかについて、震災から1年も経たない時点(2012年1月)における同様の調査結果と合わせて集計したのが次のグラフ。最上位にあるのは「家族や親戚とのつながりを大切に思う」で、64.5%に達した。
↑ 震災後、強く意識するようになったこと(複数回答)
未曽有の災害に遭遇した際に、もっとも頼りになるのは身近な人、まず最初に肉親、そして第2位に位置する地域の人。当たり前の話だが、いざという時にその事実を再確認し、心に強く留めるようになる。高回答率が出るのも当然といえる。また、第3位の「社会全体として助け合うことが重要だと思う」も似たようなもの。
一方で「自分のことは自分で守らねばならないと思う」との回答も第5位・41.5%に位置している。他人との協調・つながりを意識しながらも、同時に自分自身の意思を強く持たねばならないことの決意が見て取れる(一部には「周囲は当てにならない。結局最後に頼れるのは自分だけだ」との決意かもしれないが)。
1年前の前回調査と比較すると、複数の項目でマイナス値が確認できる。
↑ 震災後、強く意識するようになったこと(複数回答)(前回比)
具体的項目でプラスとなったのは「地域でのつながりを大切に思う」「自分のことは自分で守らなければならないと思う」の2項目のみ、しかも値としてはごくわずか。マイナス値を示しているのは9項目に及び、うち2%ポイント超えが3項目に達している。「特にない」項目が1.1%ポイント増加したのと合わせ、時間経過により「醒めた」部分もあるのかもしれない。
また、直近の調査結果を世代別に見ると、多くの項目で若年層ほど高い値を示しているのが分かる。
↑ 震災後、強く意識するようになったこと(複数回答)(2013年1月、世代別)
若年層ほど精神的に敏感で、行動にも積極と考えれば道理は通る。一方、いくつかの項目、例えば「地域でのつながりを大切に思う」「自分のことは自分で守らねばならないと思う」は例外的な動き、壮齢層ほど高い結果が出ている。しかもこの2項目は半ば相反するものと見ることもでき(要は「周囲で助け合う」か「自分は自分で身を守る」)、非常に興味深い。
両者を詳しく見ると、
・地方ほど高い
・女性ほど高い
・女性壮齢-高齢層が特に高い
■「自分のことは自分で守らねばならないと思う」
・都心部ほど高い(東京都区部は例外)
・女性ほど高い
・女性壮齢層が高い
などの動きが見られる。普段からの周辺地域とのつながりの違いが、相反する居住地域として突出する形で、それぞれ全体値に反映されたようだ。特に後者、「自分のことは自分で守らねばならないと思う」は、近隣との結びつきが薄いとされる都心部の実態を描いており、納得がいく結果といえよう。
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