1か月の雑誌購入金額は約67円!? 雑誌や書籍への支出金額(家計調査報告(家計収支編))(最新)
2023/05/15 02:42
総務省統計局は2023年2月7日付で、【家計調査報告(家計収支編)における2022年分平均速報結果】を発表した。今結果内容からは、一般世帯の金銭勘定を家計の支出面を通じて詳細に知ることができる。そこでこの値を基に、多様な切り口から最新の家計の内情を探ることにする。今回は現時点で開示されているデータでは最新の2023年2月分(月次)における、家計(世帯)単位での雑誌や書籍のような紙媒体に関する購入度合いの確認を行う。コンビニの雑誌コーナーの変容、相次ぐ地元密着型・個人経営タイプの本屋(いわゆる「街の本屋さん」)の事業撤退など、激しい動きが見受けられる出版業界だが、平均的な世帯ではどの程度の頻度、額で雑誌などが購入されているのだろうか。
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具体的なデータの取得元は、家計調査報告・家計収支編内の【「4.詳細結果表 e-Stat」内の「二人以上世帯」から「月次」】を選ぶ。単身世帯は消費性向が大きく異なるため、今回は取り上げない。該当ファイルは記事執筆時点で最新月の2023年2月における「<品目分類>1世帯あたり年間の支出金額、購入数量および平均価格 4-1 全国 二人以上の世帯」。
対象となる書籍関連のデータは、「9.3 書籍・他の印刷物」およびその下部層部分「850-859」。平均世帯構成員数(2.90人)が提示されているので、新聞以外の一人あたりの額なども計算しグラフ化する。新聞を除いたのは、新聞は通常世帯・月単位で購読するため、一人あたりの数字を出しても意味を持たないから。なお直近のデータでは、調査世帯数は7185世帯、平均世帯構成員数は2.90人、18歳未満人員は0.53人、有業人員(働いている人)は1.33人などとなっている。
↑ 世帯あたり支出金額・購入世帯率・世帯購入頻度(二人以上世帯、月あたり、種類別、円)(2023年2月)
↑ 一人あたり支出金額(二人以上世帯、月あたり、種類別、円)(2023年2月)
項目名で補足をしておくと、「購入世帯率」は純粋に購入者が一人でもいた世帯の割合。1世帯内で複数の人が購入していても、購入世帯としては1件としてカウントする。そして「世帯購入頻度」は世帯単位での月あたり購入頻度。例えば今回の場合は特定の世帯において2023年2月中に誰かが2回雑誌を購入すれば、その世帯の購入世帯頻度は200%になる。非購入世帯も含めての計算であることに注意。また今回参照したファイルは2023年2月分であるため、その一か月分のみでの値であることにも留意されたい。
これらのデータから読みとれる(2023年2月時点における)傾向は次の通り。
・雑誌を一人も購入しない世帯は約8/9。購入する人がいる世帯は、月2回近く買い求めている(21.0%÷11.6%≒1.81)。
・一人あたりの雑誌購入金額は66円90銭。通常の週刊誌の価格は200円後半から300円なので(例えば週刊少年ジャンプは税込290円)、平均して月に1冊も買われていない計算になる。4か月でも1冊ぐらい。
新聞は月ベースで頼んで配達してもらう以外に、駅売りなどで時々購入しているパターンもある。その場合、家計には把握・算出されない場合が多い(サラリーマンの場合は自分のこづかいで買うため、家計としてのカウントは難しい。多分に「世帯主こづかい(使途不明)」の一部に収められているものと考えられる)。そのため「新聞購入」のみを確認する今件データと比べると、実情ではもう少し上乗せされることになる。
今データを見る限り、とりわけ雑誌・週刊誌の購入額・頻度の少なさには、あらためて驚かされる。仮に週刊誌を1誌、毎週購入したとすれば、1か月で1200円程度(上記の週刊少年ジャンプを購入したとして、290円×4週=1160円)。二人以上世帯の構成員に限定されるが、週刊誌を定期購入している人が1人いれば、その人に連動する形で約16人(16.34人)の「1か月間雑誌や週刊誌は何も買わない人」が存在して、ようやく平均値に達する計算になる。
もちろんこれは二人以上世帯のみの話で、趣味に関する商品への購入性向が強く、プライベートと世帯全体のお金の計算区分が曖昧な単身世帯では、もう少し上乗せした値になる。とはいえ、世帯全体において多分を占める二人以上世帯の実情としては、目をそらしたくなる現実でもある。
ここまで雑誌や週刊誌への出費が減っている理由としては、インターネットやモバイル端末の普及による、情報取得元の多様化が挙げられる。移動中における「時間つぶし」のツールが多数用意され、週刊誌や雑誌を選ぶ必要性が薄れたのが大きな要因。通勤時間帯の電車を見回して、どれだけ週刊誌を読んでいる人がいるか、一方でモバイル端末の類を操作している人がいるか、確かめて見れば、その現状がよく分かる。
次の機会以降の記事では、家計調査報告の値を用い、主に年ベースでの動きを確認していく。その中で雑誌や新聞などに関する、月毎の差異を考慮しなくてもよい、複数年間にわたる動向を確認可能なものも紹介する。社会生活の変化を、支出金額の面から推し量ることができよう。
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