自分の運転に自信が無いシニアドライバー3割強、不安に覚えるのは「判断力の衰え」
2013/03/21 15:45
ゲインは2013年3月13日、同社が運営するアンケートサイトQzooにおいて実施した「シニアの車の運転に関する意識調査」の結果を発表した。それによると60-70代で自動車を所有する男女から成る調査対象母集団においては、全体の9割超の人が50代の時より慎重に運転するようになったものの、3割強が「自分の運転に自信が無い」と答えていることが分かった。主に判断力の衰えによる、とっさの判断に不安を覚える人が多く、全体の5割強に及んでいる(【ゲイン公式ページ】)。
スポンサードリンク
今調査は2013年3月2日から3日にかけてインターネット経由で60-70歳の自動車を保有する男女に対して行われたもので、有効回答数は300人。男女比は1対1、居住地域比率は都市部対地方が3対2。世代構成比は非公開。
今調査対象母集団に対し、ひと昔-ふた昔前にあたる50代と比較し、その当時よりも運転が慎重になったか否かを聞いたところ、9割強の人は同意を示していた。
↑ 50代の時よりも慎重に運転するようになったか
男性がやや「思わない」率が高く不安を覚えるように見えるが、それでも9割の人はより慎重な運転を心掛けている。
一方、自分自身の運転に自信がある人は6割強に留まっている。
↑ 自分の運転に自信はあるか
自信のほどには男性が飛びぬけて高い値(74.7%)を示している。これが直上の「慎重さが他属性と比べて低め」の原因かもしれない。つまり自分の運転に自信があるので、慎重に運転する必要は無いと考えているわけだ。
●運転への自信の無さの原因は?
シニア層における「運転の際の慎重さ」や「運転への自信の無さ」は主に高齢化による心身の衰えを起因としている。それを自覚している、あるいはそれが基で実体験を得たがため、リスクを少しでも軽減するために慎重に運転するようになり、運転そのものへの自信を持つことができなくなっている。
それでは具体的に、どのような点で不安を覚えているのだろうか。代表的な要件を3つ、そして「運転上の不安は無い」とする選択肢を挙げ、それぞれ該当するものを答えてもらったのが次のグラフ。
↑ 運転する上で不安に感じていること(複数回答)
どの属性でも一番高い回答率を示した項目は「判断力の衰えによるとっさのときの対処不安」。老化により判断力が鈍くなるのは仕方がないが、だからといって物理法則までは変えられない。例えば時速40キロメートルで走る自動車は1秒で11.1メートル進む。ほんの1秒の反応の遅れが、回避できたかもしれないトラブルを大参事に変えてしまう可能性もある(【最高速度違反による交通事故対策検討会議事次第(最高速度違反による交通事故対策検討会)の資料5 自動車の走行速度の低下による交通事故の低減効果等】から)。高齢者の運転だからといって、進む距離が短くなるわけではない。これに懸念を生じるのは当然といえる。
次いで多いのは視力衰えによる視界不良。これは約3割強で属性別による違いはほとんどない。しかし体力の衰えによる長時間運転への不安は、男性と地方居住者が強く抱いている。これは女性・都市居住者と比べ男性・地方居住者の方が、長時間運転をする場面が多いからに他ならない。経験則による可能性もあるが、自分の心身の衰えによるリスクをそれなりに理解していることがうかがえる。
やや気になるのは一つ目の「自分の運転に自信はあるか」の結果。女性と地方居住者の自信の無さが目に留まるが、この属性は同時に日頃の自動車運転頻度が高いことが先の記事【60-70代の自動車運転者、4割は毎日運転・地方居住者は5割近くも】で確認されている。
↑ 自己保有の自動車の運転頻度(通勤以外における仕事内の利用は含まず)(再録)
「自信が無い人が多い層で、運転頻度が高い傾向」は、少々怖い状況といえる。あるいは運転頻度が高いからこそ、トラブル、あるいはトラブル未遂の経験も多く、自信を無くしている人が多いのかもしれない。
ただし「運転する上で不安に感じていること」でも、「不安なし」の回答率が高いのも「女性」「地方出身者」。高齢ドライバーのリスク軽減は、まず何よりも現状把握が必要不可欠。くれぐれも無理・無茶・無謀はしないでほしいものだ。
スポンサードリンク