缶詰やレトルト4割強、お米は3割超…飲食料品の備蓄率、やや低下する傾向に
2013/03/12 11:30
キリンビバレッジは2013年2月27日、2011年3月に発生した東日本大地震・震災(以後「震災」)後における水分補給やストックに関する調査結果を発表した。それによると小学生の子供を持つ母親から成る調査対象母集団においては、前回調査の2012年7月と比べ、今回調査の2013年2月では食料品の備蓄率が低下していることが分かった。特に日持ちのしにくい生鮮食料品などにその傾向が著しい。他方缶詰やレトルト食品など長期間の保存ができる食品は、比較的高い備蓄率を維持している(【発表リリース】)。
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今調査は2013年2月1日から5日にかけて、小学生の子供を持つ母親に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は800人。対象者年齢は30-49歳。
2011年3月に発生した震災をきっかけに、震災直後の流通の混乱や生産力の一時的な減退を受けての買いだめ、そして震災を教訓とした備えのための行動として、多くの人が非常用品の整備を行うようになった。特に飲食料品への備えでは新たに始めた人、すでに行っている備蓄の拡大を行った人は多い。
今件項目はキリンビバレッジが震災から間もない2011年8月を第1回目とし、今回の2013年2月のものも含め、計3回における「日常的に備蓄しているもの」を尋ねた結果となる。直近ではカップラーメンが46.0%ともっとも備蓄率が高く、次いで缶詰の45.4%、お菓子の44.1%が続いている。
↑ 日常的に備蓄しているもの(複数回答)
震災からまだ半年も経過していない、そして流通網や生産拠点の回復もまだ十分とは言いきれず、品種によっては不足状態が続いていた2011年8月の時点では、「備蓄したくても十分な量が揃わない」という可能性もある(後述のミネラルウォーターが好例)。また、優先順位の高いものを先に調達し、残りはその後にと考える場合もある。心理的に落ち着いてから備蓄をしようと考えた人もいるだろう。
いずれにせよ、カップラーメンを除いたほとんどの項目で、2011年8月よりもその翌日の2012年7月の方が、備蓄率は高くなっている。1年超も経過すれば、それなりに備蓄を用意できる体制(調達物資の供給側の品ぞろえ、そろえる側の心理的な落ち着き、対応商品の拡充化)も整ったものと思われる。
ところが直近の2013年2月では備蓄率は大きく減少。震災直後の2011年8月の水準とほぼ同程度にまで下がっている。生鮮食料品の類は備蓄に適さない事例が多く、備蓄率が低くてもさほど問題は無いが(とはいえ、常にある程度のストックをしておくことは心掛けたい)、レトルト食品など長期保存できるものも備蓄率の低下が見受けられるのは気になるところ。単に「のど元過ぎれば-」ではないが、震災から月日が経つに連れて必然性への想いが薄らいだ他に、備蓄をしたものの賞味期限が切れて無駄にしてしまった経験を受けての備蓄率低下があるのかもしれない(詳しくは機会を別にするが、「賞味期限切れを起こした備蓄品」の回答率は2012年より2013年の方が著しく低い)。
震災以前と比べれば、飲食料品の備蓄率は大幅に増加している。
↑ 常にペットボトルの水を備蓄している人(2011年8月に大幅低下しているのは、当時まだミネラルウォーターの需給バランスが不安定で、消費する分で精いっぱいなため、備蓄に回す余裕が無かったことによるものと考えられる)
とはいえ、量としては不十分な事例も多く、備蓄に関する正しい情報も公知されているとは言い難い。1年前より備蓄率が低下している項目ばかりなのも気になる。正しい知識のもとで適切な備蓄を行い、心の安寧も得たいものである。
■関連記事:
【災害に備えた非常用食料・飲料を用意している世帯は5割足らず(国民健康・栄養調査2012年版)】
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