「初音ミク」を初めて知ったきっかけは「動画共有サイト」が一番
2013/03/10 10:30
東京工芸大学は2013年2月26日、音楽の視聴性向やいわゆる「ボーカロイド」に関する調査結果を発表した。それによると音楽を聴くことが好きな若年層から成る調査対象母集団においては、「初音ミク」を知っている人は95.0%に達していることが分かった。そして初めて知ったきっかけとしてもっとも多くの人が挙げたのは「動画共有サイト」だった。数%ポイントの差で「テレビ」が第2位についている。また世代別では歳の若い層では「動画共有サイト」が、20代後半以降は「テレビ」がより高い値を示している(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は2013年1月28日から30日にかけて、「音楽を聴くことが好き」とした12-39歳の男女に対し、携帯電話を用いたインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。男女比は1対1、世代構成比は10代・20代前半・同後半・30代前半・同後半で100人ずつ均等割り当て。調査実施機関はネットエイジア。「音楽試聴が好き」との条件付けのため、世間一般の調査対象母集団と比べ、回答には多少の音楽性向における偏りが生じていることを留意する必要がある。
「VOCALOID(ボーカロイド)」とは、ヤマハが開発した音符と歌詞を入力するだけで歌声を作成することができる歌声合成技術、および、その技術を応用したソフトウェアの総称。さらにはその技術が用いられている商品に設定されているキャラクター(例えば初音ミク)を指す場合もある。
先に別記事で記したが、今調査対象母集団においては95.0%の人が「初音ミク」を認知している。
↑ 以下の製品名・キャラクター名をどの程度知っているか(再録)
それでは「初音ミク」を知っている95.0%の人は、何がきっかけで知ることになったのだろうか。結果が次のグラフだが、36.5%で「動画共有サイト」がトップ、数%ポイントの差で「テレビ」が第2位(34.2%)となった(今件は「一度でも見知ったもの」ではなく「初めて見知ったもの」であることに注意)。
↑ 初めて初音ミクを見知ったもの(初音ミク認知者限定)(択一)
次いで「SNS・ミニブログ」(ソーシャルメディア)が6.2%、「2ちゃんねるやまとめサイト」が6.1%、さらには「企業とのタイアップ」が4.4%と続く。実質的にこれ位までが考慮すべき回答率。「初音ミク」に関しては特に「動画共有サイト」と「テレビ」がファーストリーチの手法として圧倒的であることが分かる。
この2項目につき、今回の調査対象母集団の世代別に区分した結果が次のグラフ。元々若年層を対象とした調査だが、その中でもさらにごく若い世代とその上の世代で、初見が大きく異なっている。
↑ 初めて初音ミクを見知った対象が「動画共有サイト」の割合と「テレビ」の割合(世代別)
20代前半までが「動画共有サイト」が多く、20代後半以降になると「テレビ」の人が多くなる。元々今調査の別項目では20代前半までは「音楽購入のきっかけ」として「動画共有サイトで試聴」が「テレビやラジオで気に入って」とほぼ同列に並んでいたり(【音楽好きな若年層、音楽を買ったきっかけは「アーティスト買い」「テレビで気に入って」そして「動画共有サイトで試聴して」】)、動画共有サイトでの動画視聴を「非常に好き」と答える率が他世代よりも高いなど、動画共有サイトへの傾注が高い傾向がある。
↑ 最近1年間に音楽を購入するきっかけとなったもの(複数回答)(再録)
普段から高い頻度で使い親しんでいる動画共有サイトに「初音ミク」作品が多数展開されるようになれば、接する機会・可能性は増えてくる。極若年層で「動画共有サイト」が最上位についているのも当然といえよう。
なお今件に関してリリースでは次のような表記がなされている。
デジタル系技術やコンテンツの浸透のパターンに類しているが、30代では「テレビ」の方が多いことを合わせて考えると、浸透のきっかけとなる層がやや若め(通常ならば金銭的にも余裕のある30-40代が中心になる)なのが興味深い。その観点でも「初音ミク」をはじめとしたボーカロイドのブレイクが、やや異質なものであるのも「なるほど感」があるというものだ。
(c) Crypton Future Media,Inc.ALL RIGHTS RESERVED
VOCALOIDはヤマハ(株)の登録商標です。
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