インターネットの利用時間動向(2011年社会生活基本調査)
2013/03/05 11:30


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今調査は1976年以降5年おきに行われているもので、1日の生活時間の配分と過去年間における主な活動状況などを調べている。そしてその結果は仕事と生活の調和の推進や男女共同参画社会の形成、少子高齢化対策などの各種行政施策の基礎資料として役立てられることになる。
今項目においてはインターネットの利用に関して1日の行動の中で、利用したか否かを15分単位で尋ねている。また、特に言及は無いのでパソコン以外に携帯電話やタブレット機、ゲーム機などによるアクセスも含まれる。
まずは全体的な平均時間を世代別に区切ったもの。これはインターネットを使った人・使わなかった人を合わせた、そして平日と土日を合算した上での、包括的な平均値。世間一般的にこれぐらいの時間で使われている、という指針のようなものである。

↑ インターネット利用平均時間(2011年、週全体、性別・世代別)(行動者・非行動者を合わせた平均)
男性は1日あたり51分、女性は27分。男性の方が2倍近く長い。仕事でインターネットを多用するため、正規就労の多い男性の方が長くなる次第。世代別の値で25-34歳が突出していることからも容易に想像できる。
インターネットの利用は「主な仕事関連での使用」と「自由時間での使用」の2つの場面がメインとなる(もちろんそれ以外の使用事例もある)。そこでこの2場面それぞれにおける平均利用時間(こちらも行動者・非行動者を合わせた平均)を見ていくことにする。

↑ インターネット利用平均時間(2011年、週全体、性別・世代別)(行動者・非行動者を合わせた平均)(主な仕事関連での使用)

↑ インターネット利用平均時間(2011年、週全体、性別・世代別)(行動者・非行動者を合わせた平均)(自由時間での使用)
「仕事」での利用だが、10-14歳は当然ゼロ。15-24歳でも女性がわずかに使うのみで、男性はほとんどゼロに等しい。本格的に使うのは25歳以上。25-34歳では男女でさほど変わりなく、正社員として事務作業などにおいて利用している様子が想像できる。
ところが35歳を過ぎると男女間の開きが大きくなる。これは男性が引き続き正社員などによる事務仕事で使うのに対し、女性はパートやアルバイトとして勤めるため、事務などの仕事でインターネットを使う場面が少なくなるからだと考えられる。男女差は45-54歳で最大となるが、女性の平均時間は変わらず、男性の利用時間が伸びている。そして55歳以上になると男女とも就労機会そのものから外れる事例も増え、行動者の利用時間も減っていく。
他方「自由時間」では男女の個々の世代における差異はあまり無く、世代間の傾向にも違いは無い。成人した直後の15-24歳層が一番長く、あとは漸次減っていく。また、女性の中堅層以降は特に、インターネットの利用はその多くが「自由時間」によるところのものであることが分かる。
さてこれらはあくまでも「行動者・非行動者を合わせた」平均。インターネットを使っている当事者の、利用スタイルまでは推し量れない。そこで平均値を換算する際の対象を「行動者のみ」、つまりインターネット利用者に限定して再算出したのが次のグラフ。インターネット利用者における意外な動向が見えてくる。

↑ インターネット利用平均時間(2011年、週全体、性別・世代別)(行動者のみの平均)(主な仕事関連での使用)

↑ インターネット利用平均時間(2011年、週全体、性別・世代別)(行動者のみの平均)(自由時間での使用)
仕事での利用時間だが、25-34歳では「週全体」平均で男性が5時間半、女性が4時間半も利用している。土日も含めた上での平均なので、平日のみで再算出すれば(土日に1分も仕事でインターネットを使っていないと仮定している)1日あたり男性が7時間半、女性が6時間強となる。ほとんどネット漬け。
さすがに35歳以降は利用時間も減るが、それでも男性は45-54歳で再び増加する動きを見せる。一方女性は65歳以上になると35-44歳時と同程度の利用時間に伸びるのが興味深い。「利用できる人」に限定されるが、高齢女性はインターネットの利用に積極的なのだろう。

利用者・非利用者を合わせた平均値から見れば分かるように、利用者そのものはごく少数だが、使いこなせる人は積極利用をしているようだ(もっとも、操作に難儀して利用時間が伸びているだけ、という可能性もありうる)。まさに「コンピューターおばあちゃん」的な話ではある。
■関連記事:
【シニア層の伸び継続・年齢階層別インターネット利用率(2011年分反映版)】
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