「もっとも有益」は多方面でテレビ、ただし「面白いもの探し」ではパソコンが逆転
2013/02/28 07:55
NHK放送文化研究所は2013年2月7日、「デジタル時代の新しいテレビ視聴(テレビ60年)調査」の概要データを公開した。それによると調査対象母集団においては、「ニュース」を取得する際にもっとも役立つものとして挙げられたのは「テレビ」が57%と過半数を占めていた。次いで「新聞」が28%と続いている。その他「楽しむ」「安らぎ」など多方面で「テレビ」が最多数意見を確保している。ただし「面白いものを探す」では「パソコン」が「テレビ」を抜き、「もっとも役に立つ」と判断された結果が出ている(【発表リリース一覧ページ】)。
スポンサードリンク
今調査は2012年11月17日から25日にかけて全国の16歳以上の日本国民より住民基本台帳から層化無作為二段抽出で抽出した3600人(外国人と思われる人は除く)に対し、配布回収法で行われたもので、有効回答数は2506人。男女比・世代構成比は非公開。また経年変化のデータに関しては直近分は2012年11月2日から18日にかけて個人面接法で行われており、有効回答数は1408人。
メディアを使用することで得られる便益のうち次の6つを挙げ、それぞれについて主要メディアのテレビ・新聞・携帯電話・パソコン(後者二つは必然的にインターネット接続が前提)の中で、どれが一番役立つ・有益かを答えてもらったのが次のグラフ。
↑ 各機能について「もっとも役立つ」「もっとも感じさせてくれる」メディア(テレビ・新聞・携帯電話・パソコンから一つ選択)
・楽しむ……理屈抜きで楽しむ
・面白いものを探す……何か面白いものを探す
・外とのつながり……外の世界とつながっているような感じ
・安らぎ……心の安らぎが得られるような感じ
・感動……心がゆり動かされるような感じ
「テレビ」は「ニュース」「楽しむ」「安らぎ」「感動」の4項目で過半数に達し、「外とのつながり」でも最上位を確保している。次いで多いのは(「この中に無し」を除けば)「ニュース」が「新聞」、「楽しむ」が「パソコン」、「安らぎ」が「携帯電話」、「感動」が「新聞」と続き、個々の内容によってメディア毎の得手不得手が見えてくる。それだけ「テレビ」のオールマイティさが浮き彫りになる。
一方、「面白いものを探す」では唯一「テレビ」以外の「パソコン」が最上位。検索機能とインターネットの世界の奥深さは、「テレビ」ではほとんど使えない双方向性の有意義さを再認識させてくれる。
10年前との比較では、減り方に違いはあれど6項目すべてで「テレビ」は減少している。それに反して「携帯電話」「パソコン」は増加しており、メディアの普及率、有益性に大きな変化が生じていることが再認識できる。また誤差の範囲かもしれないが、「新聞」も地道に「感動」「安らぎ」「外とのつながり」「ニュース」「楽しみ」の点で回答率を伸ばしているのが興味深い。
この10年間の変化を計算した上でグラフ化したのが次の図。
↑ 各機能について「もっとも役立つ」「もっとも感じさせてくれる」メディア(テレビ・新聞・携帯電話・パソコンから一つ選択)(2002年から2012年への変移、%ポイント)
「テレビ」がごっそりと減少していること、「新聞」が地道な上昇を示していること、「携帯電話」と「パソコン」が全般的に上昇していることが一目でわかる。特に双方向性の強さを活かせる「面白いものを探す」の点で高い値を示していることに注目したい。
とはいえ、メディアはあくまでもツールであり、技術の進歩によって高性能化が図られるものの、最終的に中身を創るのは携わる人たち自身。そのことを忘れずに、各メディアは今後も「一番」を目指して良質な効用を提供してほしいものだ。
■関連記事:
【増えるモバイル利用……メディアへの接触時間推移(2012年発表版)】
スポンサードリンク