正社員61.9%、パート・アルバイト27.1%…日本の雇用形態の現状(最新)

2024/11/28 02:35

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2024-1122総務省統計局が2022年8月31日以降順次結果を発表している2021年社会生活基本調査では、多様な切り口から人々の生活様式を知ることができる調査が行われ、その結果が公開されている。今回はその公開データを用い、雇用者の実情を多方面から確認していくことにする(【令和3年社会生活基本調査】)。

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正規・非正規それぞれの人数と比率


今調査の調査要綱は先行記事の【ボランティア活動の実態(最新)】を参照のこと。

まずは雇用形態別の人口と比率。直近年となる2021年時点では正規職員・従業員(正社員)は3560.5万人、雇用されている人全体に占める比率は61.9%。

↑ 雇用形態別人口(雇用されている人、15歳以上、万人)(2021年)
↑ 雇用形態別人口(雇用されている人、15歳以上、万人)(2021年)

今件のようなグラフを呈した時に必ず生じる誤解が、男性正社員・非正規社員のみをイメージした上で「正社員比率が低すぎる」というもの。今グラフは主婦層のパート・アルバイトまでをも合算したものだ。さらに昨今では高齢者による定年退職後の契約社員などの立場での再雇用例も増えており、これもまた正社員比率を押し下げる一因となっている。

平均的な労働時間は?


それぞれの労働形態における、平均的な労働時間は次の通り。正社員は7時間近く、契約社員は5時間半ほど、パートは4時間近くとなる。

↑ 雇用形態別仕事時間(週全体における一日平均、時間:分)(2021年)
↑ 雇用形態別仕事時間(週全体における一日平均、時間:分)(2021年)

今件は土日も含めた上での平均なので、例えば正社員の場合は平均で1週間あたり6時間43分×7=47時間1分働いている。今件には法定労働時間(週40時間)に残業や副業も含まれているため、仮に週休2日制として概算すると、勤務日では毎日1時間ほどの残業・副業をこなしていることになる。かなりハードな状況、かもしれない(一部では「それでもまだ短い」とする意見もあるだろうが)。またパートやアルバイトの就業時間の短さや、派遣社員・契約社員の時間の長さに、それら職種への認識を改める人もいるだろう。

世間一般には「正社員の数が減り、その分、非正規社員が増えた」と言われている。それを今回の「社会生活基本調査」で確認するため、今世紀以降の調査分も合わせ、雇用形態別労働人口の変移をグラフ化する。なお2001年から2006年の調査結果は雇用形態の区切りが簡略化されている(その他非正規社員に契約社員と嘱託が含まれている)のに注意が必要。

↑ 雇用形態別人口(万人)
↑ 雇用形態別人口(万人)

雇用されている人全体の数は漸増。正社員は減少傾向だったが2016年以降は増加に転じている。パートとアルバイトを合わせた数は漸増だったが2021年では大きく減っている。「派遣バッシング」とそれに伴う法改正など社会情勢の変化を受け、派遣社員は2011年に大幅減となったが、2016年以降は漸増している。

2021年に限れば景況感の改善や新型コロナウイルスの流行を受け、正社員は大きく増加した一方で、非正規社員は減っている。ただし派遣社員は増えている。

総労働量を仕事の総時間で確認


雇用形態別人口の比率変化、つまり労働市場における正社員・非正社員の配分の変化に伴い、市場全体の総労働時間(≒全体の労働力)や、個々の労働形態の立場にある人たちの労働時間はどのような変化をしているのだろうか。併せて直近調査分における前回調査分からの、雇用形態別の一人・一日あたりの仕事時間の変化を確認する。

↑ 仕事時間総量(週全体、一日平均、万時間)
↑ 仕事時間総量(週全体、一日平均、万時間)

↑ 雇用形態別仕事時間増減(一日あたり、分)(2016年→2021年)
↑ 雇用形態別仕事時間増減(一日あたり、分)(2016年→2021年)

労働者の数は漸増しているが、中身としては多分に短時間労働の非正規社員の増加であるため、仕事時間総量の伸び方は穏やか。2011年と2021年では前回調査比で減少までしている。もっとも2021年における減少は、正社員の労働時間の減少によるところが大きいのだが。

そして5年前と比較した、直近年の一人あたりの一日平均労働時間だが、すべての雇用形態で減少している。雇用されている人全体の数の増加ぶりと比べ、仕事時間総量の増え方が穏やかな一因は、それぞれの雇用形態における残業が減ったことによるものだろう。

数字の上でも正社員の比率が減り、非正規社員が増えていたことは事実である。一方で、2021年では逆転の動きが生じていること、そして世間一般に言われているような状況とは雰囲気を異にする現状であることも、今件データからは見えてくる。毎年更新される「労働力調査」の結果と合わせ、正しい現状を認識したいものだ。


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