震災によるボランティア活動の活性化実態(最新)
2024/11/25 02:52
総務省統計局が2022年8月31日以降順次結果を発表している2021年社会生活基本調査では、人々の行動様式を多様な観点から確認することができる。今回はその公開データにおいて、ボランティア活動への取り組みのうち、2011年3月に発生した東日本大震災によるものと考えられる、「災害に関係した活動」の行動者率の特異的な動きについて見ていくことにする(【令和3年社会生活基本調査】)。
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今調査の調査要綱、「ボランティア」の定義は先行記事の【ボランティア活動の実態(最新)】を参照のこと。
その記事でも一部言及しているが、ボランティア活動の具体的種類のうち「災害に関係した活動」の行動者率は2011年において大きな増加が確認できる。なお2001年は元データの都合上、70歳以上がすべてひとまとめにしてあるため、75歳以上が空欄になっている。
↑ 「ボランティア活動」の行動者率(「災害に関係した活動」、年齢階層別)
●「災害に関係した活動」の具体例2006年から2011年にかけての動きは、「何らかの状況変化に伴う動き」であることは、誰が見ても一目瞭然である。そしてその理由は2011年3月に発生した東日本大震災によるものと見て間違いない(震災は3月、今調査の2011年分は10月に実施。その時点で「過去1年間に行ったか否か」を尋ねている)、震災によるものに他ならない。特に従来ほとんど動きのなかった若年層における大きな伸び、中年層の活躍ぶりが見て取れる。
・救援物資の確保・輸送
・炊き出しなどの災害時の救援
・災害復旧のための資金の募集
・現地での労力奉仕
・災害後の被災者への救援
他方、2016年から2021年にかけての減少ぶりも目にとまる。これは新型コロナウイルス流行により、外出忌避や他人との接触機会が極力抑えられたのが原因。公開資料でも「1日の生活時間の配分の調査時期は、新型コロナウイルス感染症がいわゆる第5波として拡大した後、各地に順次発令されていた新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)に基づく「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言」及び「まん延防止等重点措置」が2021年9月末をもって全ての地域で終了し、解除された直後となる。両措置が解除後も当面は地域によって営業時間の自粛等の取組が行われていたほか、新型コロナウイルス感染症の影響による三密回避の日常化や数度の行動制限により、前回調査となる5年前の2016年に比べ、生活時間の配分は変化し、新しい生活様式が浮き彫りとなるような結果となっていることがうかがえる」と説明されており、ボランティア活動の観点では、新型コロナウイルスの流行が忌避要因となってしまったことがうかがえる。
2006年から2011年への変移を確認したのが次のグラフ。
↑ 「ボランティア活動」の行動者率(「災害に関係した活動」、2006年から2011年への変移、年齢階層別、ppt)
元々20代や30代は行動者率が低めだったのも一因だが、この層の大きな伸びが実体として表れている。先の震災におけるボランティア活動に、多数の若年層が参加するようすが伝えられているが、それが単なる見た目だけのもの、演出的な切り貼りによるものではないことが、改めて確認できる。また、2006年時点では最多階層が40代後半から60代にかけてだったものが、2011年では30代後半から50代前半にシフトしたことも、注目すべき動きではある。
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