ボランティア活動の実態(最新)
2024/11/25 02:50


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今調査は国勢調査の調査区のうち、総務大臣の指定する約7600調査区に対して行われたもので、指定調査区から選定した約9万1000世帯に居住する10歳以上の世帯員約19万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2021年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2021年10月16日から10月24日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と、調査員への提出あるいはインターネットでの回答による回収方式。
今件における「ボランティア活動」とは、報酬を目的とせずに自分の労力や技術、時間を提供して地域社会や個人、団体の福祉増進のために行う活動を指す。ただし、交通費などの実費程度の金品の支払いが生じても報酬と見なさず、ボランティア活動に含む。一方、ボランティア団体が開催する催し物に参加しただけの場合は、該当活動とはみなされない。
調査時点において過去1年間にボランティア活動をしたか否かを聞いたところ、2021年では17.8%の人が経験ありとの結果が出た。

↑ 「ボランティア活動」の年齢階層別行動者率(2021年)

↑ 「ボランティア活動」の年齢階層別行動者率
ボランティア活動の行動率は未成年者で1割強だが、20代後半にかけて漸減し、それ以上は再び増加、40代前半を一つのピークとし、それ以上は50代前半まで下がったあと、再びいくぶんの増加を示し、75歳以上で大きく落ちる。活動内容にもよるが、時間的・精神的余裕があるか否かが大きいと見れば納得のいく動きではある。
実際、普段の就業状態別で見ると、働き盛りの中年層では無業者の方がボランティア活動をしている人の割合は高い傾向がある。就業者は時間が取りにくいので行動者率が落ちる次第。

↑ 「ボランティア活動」の行動者率(年齢階層・普段の就業状態別)(2021年)
経年推移で中年層の値が落ちているのは、この層が多忙になったことに加え、女性の就業率が共働きで上昇しているのが要因だろう。
他方50代以降では有業者の方が高い値が出ているのは、時間的余裕よりも精神的な、あるいは身体上の理由によるところが大きいと考えられる。75歳以上で大きく無業者の値が落ちているのが好例だが、高齢層の無業者は仕事ができないほどに気力や体力が減退し、ボランティア活動に手を出すのも難しいという次第。
前回調査の2016年分から直近の2021年への動きを見ると、全年齢階層で大きく落ち込んでいる。特に10-14歳の減り方が著しい。

↑ 「ボランティア活動」の年齢階層別行動者率(2016年から2021年への変移、ppt)
これは新型コロナウイルス流行により、外出忌避や他人との接触機会が極力抑えられたのが原因。公開資料でも「1日の生活時間の配分の調査時期は、新型コロナウイルス感染症がいわゆる第5波として拡大した後、各地に順次発令されていた新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)に基づく「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言」及び「まん延防止等重点措置」が2021年9月末をもって全ての地域で終了し、解除された直後となる。両措置が解除後も当面は地域によって営業時間の自粛等の取組が行われていたほか、新型コロナウイルス感染症の影響による三密回避の日常化や数度の行動制限により、前回調査となる5年前の2016年に比べ、生活時間の配分は変化し、新しい生活様式が浮き彫りとなるような結果となっていることがうかがえる」と説明されており、少なくともボランティア活動の観点では、新型コロナウイルスの流行が忌避要因となってしまったことがうかがえる。
さて、「ボランティア活動」とひとまとめにしてあるが、中身としては多様な活動がある。その内容を確認したのが次のグラフ。

↑ 「ボランティア活動」の種類別行動者率(2021年)
「まちづくりのための活動」がもっとも多く7.4%、ついで「子供を対象とした活動」が4.6%、「安全な生活のための活動」が3.1%、「自然や環境を守るための活動」が3.0%で続く。2011年の震災時に大きく伸びた「災害に関係した活動」は2011年における3.8%から大きく後退し、0.8%に過ぎない。
なお各ボランティアの種類だが、その内容に関連する年齢や男女別で、活動に参加する人の割合は大きな違いが生じている。例えば「子供を対象とした活動」では中年層の女性が大きな値を示している。

↑ 「ボランティア活動」の行動者率(男女・年齢階層別、「子供を対象とした活動」)(2021年)
男性も中年層で大きめの値が出ているが、女性は男性の数倍の行動者率。自分の子供も対象になりうるとなれば、参加する人が多いのも理解できる話ではある。
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