男性は4人に1人強が生涯未婚の可能性…生涯未婚率の実情(最新)

2024/05/05 02:36

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2024-0427こども家庭庁は2023年12月に2022年度版となる「少子化の状況及び少子化への対処施策の概況(こども白書)」を発表した。今回はその報告書の中で語られている内容をベースとし、「生涯未婚率(50歳時点での未婚の割合)」について確認し、現状を把握する。結婚の動向や出生率とも浅からぬ関係のあるこの値はいかなる意味を持ち、どのような推移を示しているのだろうか(【少子化の状況及び少子化への対処施策の概況】)。

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生涯未婚率」は言葉通り、その時点において今後一生涯結婚しないであろう人の割合を示す(混乱しがちだが、生涯を通して実際に未婚だった人の割合ではない)。死別や離別などの理由で配偶者と別れ、現在独身の人は「未婚」には該当しないので注意が必要。【公益財団法人 生命保険文化センターの解説】によれば、

「45-49歳」と「50-54歳」未婚率の平均値から、「50歳時」の未婚率(結婚したことがない人の割合)を算出したものです。以前は生涯未婚率と呼ばれていましたが、生涯を通して未婚である人の割合を示すものではありません。

とあり(今件白書内のデータもこの定義と同じ。解説でも「45-49歳の未婚率と50-54歳の未婚率の平均」とある)、社会における結婚事情を推し量る、一つの指針にもなる。なお法的な結婚状態にはないが両者合意のもとに同棲状態にある人(事実婚)の場合、今回の話における結婚状態には含まれない。また性交渉の有無は今件とは関係はない。なお本来白書などでは50歳時点での未婚の割合を「生涯未婚率」としていたが、最近では単に「50歳時の未婚率」と呼ぶようになった。社会習慣の変化によるものだろう。今記事では「生涯未婚率」として引き続き取り扱う。

最新の白書では2020年の国勢調査の確定値に伴う、2020年分の値が最新値として反映されている。そこでそれらの値を用いたのが次のグラフ。

↑ 生涯未婚率(45-49歳と50-54歳未婚率の平均値)
↑ 生涯未婚率 (45-49歳と50-54歳未婚率の平均値)

男性は1985年あたりから上昇勾配がきつくなり、1995年以降はほぼ一直線での増加をしていたが、2020年分では上昇ぶりがいくぶん落ち着いた感がある。確定値の直近分の2020年では前回の2015年から3.5%ポイント増え、1/4に届いた状態となっている。

一方女性は1975年からはほぼ横ばいの動きを示していたが、1995年からは上昇に転じ、次第に伸び方が急上昇を示している。そのカーブの変容からは、明らかに何らかの状況変化が起きたことを示している。ただし男性同様女性も2020年ではやや上昇ぶりが落ち着いている。別調査の結果【「お金が無い」「異性とうまく付き合えない」上昇傾向 気になる独身…独身者が独身で留まっている理由とは?(詳細版)】【結婚したいがアレが邪魔…未婚男女が頭を抱える、結婚のハードルとは?】などと照らし合わせると、経済面や趣味娯楽の多様化・価値観の変化など、結婚を取り巻く環境の変化が、特に女性における結婚への心理的姿勢を変化させた可能性が高い。

他方、少数ではあるが、上記で指摘したように、統計上は未婚扱いではあるものの、事実婚の状況で異性と同居(同棲)しているケースも想定される。これもまた価値観の多様化によるものではある。なお白書ではこの事実婚、さらにはそれによる出産で生じる婚外出生のパターンが日本では少ないため、生涯未婚率の上昇は出生率の低下の大きな要因となるとも指摘している。具体的には

・出生率の低下要因は、我が国では婚外出生が依然少ないため、結婚行動の変化(未婚化)と夫婦の出産行動の変化(有配偶出生率の低下)にほぼ分解され、前者の引下げ効果は、後者の効果に比べてはるかに大きいとの指摘がある。

・具体的には、1950年代後半から1970年代前半にかけての合計特殊出生率に相当する数値2.01から2012年の1.38までの変化量は、約90%が初婚行動の変化、約10%が夫婦の出生行動の変化で説明できるとされている。

との補足説明がされている。つまり少子化≒出生率の低下は、結婚行動そのものが減退しているのが主要因であるとするもの。実際、完結出生児数の推移を見ると、1972年以降2002年まではほぼ横ばい、それ以降もゆるやかな減少にとどまり、合計特殊出生率の低下度合いとは大きな違いを見せる。

↑ 夫婦の完結出生児数(人)
↑ 夫婦の完結出生児数(人)

今件データは原則的に国勢調査毎に更新されるため、次の確定値によるデータ公開は2027年となる。果たして今後生涯未婚率の上昇がゆるやかなものになるのか否か、他の結婚関連の値とともに、気になるところではある。


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