音声通話の総通信回数は645億回…電話による通話回数の推移(最新)
2024/03/13 02:48
総務省は2024年2月29日、2022年度(2022年4月1日-2023年3月31日)における固定電話や携帯電話などによる音声通信の利用状況に関する調査結果【通信量からみた我が国の音声通信利用状況-令和4年度における利用状況-】を発表した。それによると2022年度における日本国内の音声通話による総通信回数は645億万回となり、前年度比で3.2%の減少となった。様態区分別では固定系、携帯電話・PHSが減少し、IP電話は変わらずだった。携帯電話・PHSは2011年度までは増加傾向だったが2012年度以降は減少傾向に転じており、注目に値する動きを示している。
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今調査結果は日本国内の電気通信事業者からの報告を取りまとめたもので、対象事業者は兼業している事業者も含め発信側で区分すると、固定系関係10社、IP電話系21社、移動電話系11社、そして国際電話関係7社。
それによると2022年度における、日本国内の音声通信回数は総数で645億万回。前年度の666億6000万回から3.2%の減少となった。
↑ 通信回数(通話、国内、種類別、億回)
↑ 通信回数(通話、国内、種類別、対総回数比率)
↑ 通信回数(通話、国内、種類別、前年度比)
直近年度では各様態区分別においてはIP電話は前年度比でプラスマイナスゼロ。固定系はマイナス13.4%、携帯電話・PHSはマイナス2.1%に。
携帯電話の動きが2012年度以降マイナスに転じたことが気になる人もいるかもしれない。これは音声通信回数全体の減少と同じ理由で、電話を使ったコミュニケーション手段が、音声通話からデジタル(電子メールやチャット、ソーシャルメディア経由)にシフトしつつあるのが要因と考えられる。「携帯電話・PHS」項目に含まれるPHSもかつては契約数を順調に伸ばしていたが(【PHS回線増加の謎...「1回あたり10分以内の国内音声通話が無料」がカギ】で解説したように、事業者による巧みな料金設定・仕組みのたまもの。契約数動向は機会をあらためて解説)、それも2014年からは減少に転じ、携帯電話の通話利用減少状況をさらに後押しする形となった。なおPHSは個人向けサービスがすでに終了しており、法人向けも2023年3月末に終了した(構内PHSは引き続き利用可能)。
↑ PHS契約数(万件)(2023年6月まで)
携帯電話も契約数そのものは増加の一途にあるが、それに反して「携帯電話全体でも」音声通信回数は漸減を続けている。
【モバイル持ちは親子とも「リアルでも連絡手段はまずメール」、スマートフォン持ちはLINEやツイッターも多用】などでも解説している通り、知人との間はもちろん親子でも手持ちのモバイル端末で、音声通話ではなくデジタルを用いた意思疎通に重点が置かれるようになりつつある。通話よりもハードルが低く気兼ねが不要な、記録保全が容易なのが大きな要因。携帯電話は今や「携帯情報端末」であり、従来メインのはずの「電話(による通話)」機能は「必要不可欠に違いないものの、最多利用機能ではない」存在となりつつある。
今後さらに「通話減少」の動きは加速化していくに違いない。しかしそれがそのまま人と人とのコミュニケーションの減退を意味していることにはならない。単に手段が新しいツールに移り変わりつつある、より便利な手法がより多く用いられるようになる。ただそれだけの話に過ぎない。
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