主要国のテレビ業界の売上高(2012年発表版)
2013/01/08 07:30
先に【世界主要国のテレビ視聴時間(2012年発表版)】でも記した通り、イギリスの情報通信庁は2012年12月14日までに、同庁が毎年発表している、世界各国の通信業界・メディア動向をまとめたレポート「International Communications Market Report」の最新版にあたる【International Communications Market Report 2012】を公開した。発信元の都合もありイギリス中心の内容ではあるものの、有意義なデータが多数盛り込まれていて、検証に値する内容といえる。今回はその中から「主要国のテレビ業界における売上高」を見て行くことにする。
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今レポートではテレビ業界の売上について「広告収入」「公的資金」「視聴料・その他(≒有料テレビ)」の3つに大別し、その最新値(2011年分)と5年前にあたる2006年分を掲載している。次に示すのはそのグラフだが、日米の市場規模が他国と比べて非常に大きく、やや分かりづらい形となってしまったため、両国を除いたバージョンを併記する。
↑ テレビ業界の売上高動向(2006年と2011年)(単位:10億ポンド=1370億円)
↑ テレビ業界の売上高動向(日米除く)(2006年と2011年)(単位:10億ポンド=1370億円)
改めて日米のテレビ市場の規模の大きさを再確認できるグラフだが、その両国においても日本がほとんど横ばい(広告費はむしろ減っており、有料テレビがそれを補完している)なのに対し、アメリカでは有料テレビが大幅に伸び、テレビ業界全体の成長を支えているのが分かる。この傾向は主要ヨーロッパ諸国でも変わらず、ドイツ、イギリス、フランスなどもまた、有料テレビの伸びが業界全体の成長のかなめとなっている。
一方新興国では有料テレビ以外に広告費も伸び、テレビ業界が大きく飛躍している。中国・ブラジル・インド共にこの5年間で約2倍の規模に拡大を果たしているのが確認できる。
「人口規模が大きい国ではテレビ業界も大きくて当然」との意見もあるだろう。そこで各国の人口で売上高を割ったのが次のグラフ。「前年比」も併記しておく。
↑ テレビ業界の売上高(2011年)(人口ひとりあたり、単位:ポンド=137円)
↑ テレビ業界の売上高(2011年)(人口ひとりあたり、前年比)
市場規模の大きな日米は、一人当たりの売上高も大きく、効率よく稼いでいるのが分かる。また同規模でオーストラリアも並んでいるが、市場規模はインドと同程度でしかない(53億ポンド/2011年)。レポートでは「BRICS諸国は人口の大きさでテレビ業界市場の規模を底上げしている」と説明している。見方を変えれば、今後それらの国の経済が発展すれば、テレビ業界市場も飛躍的に拡大することが予想できる。
また2011年に限った話とすれば、多くの国でテレビ業界は拡大を続けており、特にアメリカの伸びが著しい。スマートフォンやタブレット機などのようなデジタル機器が急速に浸透する一方、テレビ業界も(少なくとも売上の上では)成長を見せるという、他国業界関係者から見ればうらやましい状況にあるといえる。
そしてそれら成長する国々で大きな支えとなっているのが「有料テレビ」。今後は対価を支払うのに値すると評価される、高品質なコンテンツが今まで以上に求められるに違いない。
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