主要国で比較する「ニュースはどこで手に入れるか」(2012年発表版)
2013/01/05 16:00
先に【世界主要国のテレビ視聴時間(2012年発表版)】でも記した通り、イギリスの情報通信庁は2012年12月14日までに、同庁が毎年発表している、世界各国の通信業界・メディア動向をまとめたレポート「International Communications Market Report」の最新版にあたる【International Communications Market Report 2012】を公開した。発信元の都合もありイギリス中心の内容ではあるが、有意義なデータが多数盛り込まれていて、検証に値する内容といえる。今回はその中から「主要国における、『ニュース』を取得する時にもっともよく使う情報源」を見て行くことにする。
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世の中には多種多様な新しい情報(ニュース)が飛び交うが、そのすべてを取得することは不可能に等しい。そこで人はそれらのニュースをまとめて伝えてくれるメディアを利用し、時節に乗り遅れないようにしたり、興味関心のある分野での最新情報を手に入れることになる。今件ではそれらのニュース取得に際し、もっともよく使う情報源(ソース)を回答してもらった結果である。
まずは回答者の国全体における全国ニュースの場合。これは「テレビ」をもっともよく使う人か多数を占めており、大体5割前後。次いでインターネットが(ややぶれがあるが)4割前後という次第。
↑ ニュースを取得する際にもっとも使うソース(全国ニュース)(2012年9月)
これらは「もっともよく使う」であり、非回答項目をまったく使わないわけではないことに注意しておく必要がある。とはいえ「新聞・雑誌」「ラジオ」の回答率がそれぞれ1割以下でしかないことに、ショックを受ける人もいるに違いない。ドイツがやや高めなのが気になるが、これは以前【世界中で使われなくなる郵便、固定電話、そして対面でのやり取り(2012年発表版)】で触れた通り、同国では伝統的なメディアへの傾注度がやや高めなところに起因しているものと考えられる。他方イタリアでは唯一、「テレビ」以上に「インターネット」が使われている点にも注目したい。
次いで国際ニュースの場合。
↑ ニュースを取得する際にもっとも使うソース(国際ニュース)(2012年9月)
大勢は国内ニュースと変わらない。ただし「インターネット」を挙げる人がやや増えており、イタリア以外に日本も「インターネット>>テレビ」となっている。やはり一次ソースは海外に直接当たった方が早いとする考え方によるものだろう。一方でその日本だが、「興味なし」とする意見が14%と断トツに多いのも気になるところ(多分に情けなくはある)。
最後に地域・地方ニュース。ある意味、もっとも利用者にとって身近な話。
↑ ニュースを取得する際にもっとも使うソース(地域・地方ニュース)(2012年9月)
上記「国内」「国際」と異なり、もっともよく使われる媒体が大きくばらける形となっている。国により違いがあるが、「インターネット」がやや優勢で「テレビ」と肩を並べ、そして「新聞・雑誌」が大きく伸びている。国別で見ると、
・イギリス、アメリカ、日本……テレビ、インターネット、新聞・雑誌
・イタリア……インターネット、テレビ、新聞・雑誌
など、国により順位変動が起きているのが分かる。地方の情報に関しては小回りが利きやすい新聞や雑誌、そしてインターネットの方が優位に立つのは理解できるが、その中でも国毎に違いが生じている(上記にもある通り、伝統的メディアが強いドイツでの「新聞・雑誌」の高さが印象的)のが興味深い。
特に最後の「地域・地方ニュース」では、メディア技術の進化で相対的に覇気の感じられない「新聞・雑誌」が意外にも、主要情報源として強い支持を集めている点に着目したい。あるいはここにこそ、伝統的メディアの生き残りの手法が隠されている、のかもしれない。
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