世界中で使われなくなる郵便、固定電話、そして対面でのやり取り(2012年発表版)
2013/01/04 18:00
先に【世界主要国のテレビ視聴時間(2012年発表版)】でも記した通り、イギリスの情報通信庁は2012年12月14日までに、同庁が毎年発表している、世界各国の通信業界・メディア動向をまとめたレポート「International Communications Market Report」の最新版にあたる【International Communications Market Report 2012】を公開した。発信元の都合もありイギリス中心の内容ではあるが、有意義なデータが多数盛り込まれていて、検証に値する内容といえる。今回はその中から「主要国における、コミュニケーション手段の2年間における使用頻度の変化」を見て行くことにする。
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以前【友人や知人との交流でもっとも使う方法、他国は「対面」・日本は…!?(2012年発表版)】【「毎日友達や家族相手に電子メールを使ってる」日本は2/3、では電話は…?(2012年発表版)】でも記した通り、友人や家族との交流手法としては、対面、固定電話での通話、電子メール、携帯電話での通話などがあるが、もっとも使われているのは対面である一方、頻度の高い手段としては電子メールなどが挙げられる。
↑ 友人や家族とのコミュニケーションの際に、少なくとも1日1度以上使っている手法とは(2012年、友人や家族と交流している人限定、上位項目のみ)(再録)
そこでこの2年の間に、個々の手法の利用頻度が減ったか増えたかを聞いたのが次のグラフ。分かりやすいように、概して減ったもの・増えたものを分けて図にしてある。計算方法としては「増えた人」「減った人」の比率をそれぞれ算出し、「増えた人」から「減った人」を引き、純粋な増減数を算出するというもの。例えばイギリスでの「郵便」はマイナス23%とあるので、「2年前と比べて郵便を使う頻度が増えた人の割合」から「減った人の割合」を引いた結果がマイナス23%となり、後者がきわめて多いことを意味する。
↑ 2年前と比べて次の手段は使用頻度が増えましたか、減りましたか(2012年9月)(減った項目)
↑ 2年前と比べて次の手段は使用頻度が増えましたか、減りましたか(2012年9月)(増えた項目)
減った項目は前世代、あるいは非デジタル系、増えた項目はデジタル系であることが一目で分かる結果となった。ドイツがやや特異な値を示しているが、レポートでは「ドイツは固定電話の普及・利用率が高く、それが今結果にもそのまま(固定電話の使用頻度の増加に)反映されている」と説明している。また、「対面」「郵便」の変化が他国と異なるのも、いわゆる伝統的な手法を重んじるからなのかもしれない。
他方増えた項目は、「電子メール」を筆頭に「SNS」「テキストメッセンジャー」など、上記のグラフで挙げた「使用頻度の高いデジタルツール」の上位陣が名前を連ねている。元々それなりに使われてはいたが、この数年で使用頻度が大きくかさ上げされたことがうかがえる。また、減った項目で特異値を出したドイツだが、「電子メール」は他国並み、「SNS」「テキストメッセンジャー」はやや低めなものの、「携帯電話(通話)」では飛びぬけて高い値を示している。どうやら同国はデジタル系よりも、リアル感の強い交流を望む意識が強いようだ。
日本はといえば、減った項目は他国並み、「固定電話」の減り方がやや大きめ。増えた項目では「SNS」や「テキストメッセンジャー」が低い一方で「ツイッターなどのミニブログ」が高い値を示し、交流手法のデジタル化においても、他国とはやや異なる動きを見せている。「テキストメッセンジャー」の低さは日本の携帯電話事情(一般携帯電話普及の時点でテキストメッセンジャーでは無く、電子メールが普及した)もあり当然の結果といえるが、それも含め、他国とはやや異なる変化を遂げていきそうな結果と言えよう。
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