紙媒体読書率減少、タブレット機の普及が電子書籍を後押し…最新米読書事情
2012/12/30 10:00


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今調査は2012年10月15日から11月10日にかけて、アメリカ合衆国内に住む16歳以上の男女に対し、RDD方式で選ばれた電話番号に対する電話による通話でのインタビュー形式で、英語・スペイン語にて行われた。有効回答数は2252人。うち固定電話は1127人、携帯電話は1125人(そのうち固定電話無しは543人)。回答者中インターネット利用者は1945人。調査結果は国勢調査などの統計に基づいてウェイトバックが行われている。
今調査対象母集団に対し、「過去1年間にその媒体で本を読んだことがあるか否か」を聞いた結果が次のグラフ。冒頭で触れた通り、紙媒体購読率が高いことに違いはないが、この1年間で5ポイントの減少。一方で電子書籍媒体での購読率は大幅に伸びている。

↑ 過去12か月に該当媒体で本を読んだことがある人の割合(米、16歳以上)
両者の立場が逆転する・しない、するにしてもいつになるかについては随分と先の話になるだろうが、「紙媒体減少」「電子書籍増加」という形ではっきりとした数字が出たことは、注目に値する。報告書ではこの動きについて「電子書籍リーダーなど『電子書籍を読める端末』保有率増加と共にある」として、読書性向の変化と電子書籍購読が可能なデジタルデバイス(原文中には明確な指摘はないが、文脈などからモバイル系のものと考えて良い)の保有率増加に密接な関係があると説明している。
具体的に電子書籍が読めるモバイル機の普及状況も、今調査結果では伝えている。

↑ 電子書籍リーダー・タブレット機保有率(米、16歳以上)
タブレット機保有者の全員が電子書籍を読むわけではない。しかし、デスクトップパソコンやノートパソコンと比べ、機動性の高さや形状、インターフェイスの類似性などの点で電子書籍リーダーに近く、電子書籍を利用しやすい環境であることに違いは無い(アマゾンのKindle Fifeなどは、明確に双方の機能をメイン化してアピールしている程)。
そしてこのグラフにある通り、直近3年近くの間、特に2011年の年末商戦以降、大幅にタブレット機の保有率が上昇したことが確認できることから、これが電子書籍の購読率を大きく底上げしたと見て間違いない(もちろん電子書籍リーダーの保有率も大きく伸びている)。
2012年の年末商戦もまた、タブレット機が大いにセールスを伸ばしたとの話を耳にする。Pew Researchによる次回の同様調査で、どこまで保有率が伸びるのか、そして読者の読書性向がさらに変化を遂げるのが、気になるところではある。
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