求められる「メディアの性・暴力表現」対策とは

2012/12/28 07:30

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規制2012年12月17日に内閣府大臣官房政府広報室は同公式サイトにおいて、男女共同参画社会に関する世論調査の結果を公開した。その内容によれば、テレビや新聞、雑誌、インターネット、コンピューターゲームなどのメディアにおける性や暴力表現に対して、「問題がある」と感じている人は7割強に達していることが分かった。そしてそれらの問題への対策としては、「インターネットサービス接続業者のアクセス制限」「受け手側のフィルタリング導入」「メディア側の自主規制」などを求める声が上位についていた。男女別では女性が、世代別では中堅層が概して各規制に対する強い要望を抱いている(【発表リリースページ】)。



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今調査は2012年10月11日-28日の間に日本国内で20歳以上の日本国籍を持つ人5000人を、層化2段無作為抽出法で選び、その上で調査員による個別面接聴取法で行われたもの。有効回答数は3033人。男女比は1432対1601、世代構成比は20代266・30代431・40代500・50代523・60代609・70歳以上が704。

先に別記事【3/4が「メディアの性・暴力表現に問題あり」】で記した通り、テレビや新聞、雑誌などの4マスだけでなく、インターネットやコンピューターゲームまでをも含めたメディア全般に対する、性や暴力の表現について、その過激度や倫理的な観点などで問題があるかを尋ねたところ、全体では73.8%の人が「問題あり」との意見を示している。


↑ メディアにおける性・暴力表現に問題があるか(再録)
↑ メディアにおける性・暴力表現に問題があるか(再録)

それではこれらの「問題」に対し、どのような対策・制限が求められる・求めているだろうか。選択肢を提示し、複数回答で聞いた結果が次のグラフ。もっとも多くの人が同意を示したのは「サービスプロバイダによる、有害サイトへのアクセス制限」で52.8%の人が同意を示した。

↑ メディアにおける性・暴力表現の制限における望まれる方法(複数回答)
↑ メディアにおける性・暴力表現の制限における望まれる方法(複数回答)

概して男性より女性の方が値が高く、複数の制限方法を望んでいることが分かる。先の記事にもある通り、特に性・子供関連で強い反発意識を持つことから、規制に対しても強い要望を持つのも当然といえる。

中でもインターネットに対する規制を望む人は多い。発信される情報の送り手となる事業者側のアクセス規制、そして受け手側のフィルタリング導入、この2項目で過半数が確認できるほど。

これを男女それぞれ世代別に見たのが次のグラフ。比較しやすいよう、男女の縦軸で区切りは統一してある。

↑ メディアにおける性・暴力表現の制限における望まれる方法(複数回答)(男性)
↑ メディアにおける性・暴力表現の制限における望まれる方法(複数回答)(男性)

↑ メディアにおける性・暴力表現の制限における望まれる方法(複数回答)(女性)
↑ メディアにおける性・暴力表現の制限における望まれる方法(複数回答)(女性)

これを見ると「制限を望む声は30-50代に多い」「高齢層は制限をあまり望まない」「若年層は男性より女性、高齢層は女性より男性の方が規制強化の意見が強い」ことなどが分かる。30-50代の値が高いのは、多分に世帯を持ち、子供を有していることが原因と考えられる。自分自身以上に、子供がメディア経由で問題表現に触れるリスクを懸念しているからだ。これが女性全体の制限強化の声が強い原動力ともいえよう。

なお今件の「制限方法」では選択肢は設問側から呈されたものだけで、例えば「既存法令及び各業界団体の自主規制の順守徹底」という、実態に合った項目が欠けているのが気になる(自主規制はうたわれていても、それが形骸化していたり、施行そのものが行われていないのが実情というのも多い)。今件調査は調査期間毎に項目をいくつか差し換えて聞いていることが確認されていることから、次回の機会にはもう少し現状に即した選択肢を設けることを期待したいところだ。


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