「ロードプライシング」の考え方、賛成反対共に4割強
2012/12/21 07:30
内閣府は2012年12月3日、道路に関する世論調査の結果を発表した。それによると混雑緩和や道路の維持更新費用確保のため、一定地域内に侵入する車に対して料金支払いを求める「ロードプライシング」という考え方について、賛成派・反対派共に4割半であることが分かった。「分からない」とする人が残りの1割を占めている。世代別では若年層ほど、地域別では都心部ほど賛成派が多い傾向が確認できる(【発表リリース】)。
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今調査は2012年10月4日から14日にかけて、日本国内で日本国籍を有する20歳以上の男女の中から層化2段無作為抽出法によって選ばれた3000人に対して行われたもので、調査方法は調査員による個別面接聴取法。有効回収数は1866人。男女比は847対1019、世代構成比は20代165人・30代266人・40代318人・50代275人・60代425人・70歳以上417人。
主に欧州において「ロードプライシング(Road Pricing)」という考え方が提案され、一部で実行されている。これは【東京都環境局の解説「ロードプライシング」】にもある通り、「特定の道路や地域、時間帯における自動車利用者に対して課金することにより、自動車利用の合理化や交通行動の転換を促し、自動車交通量の抑制を図る施策」。「交通渋滞や大気汚染の著しい地域に導入することにより、渋滞緩和と大気環境の改善に資することが期待され」る。有料高速道路は「建設費用の回収」であり、「ロードプライシング」は「利用抑制効果期待」+「環境整備費用の調達・補てんのための財源」という点で異なる。
↑ ドイツにおける「ロードプライシング」の解説映像。
このロードプライシングの考え方について、どのように思うかを尋ねたところ、賛成派・反対派がほぼ同数という結果になった。
↑ 混雑緩和や道路の維持更新の財源確保のため、車が一定の地域に入る場合に料金を支払う制度をどう思うか
詳しく見ると強度の高い回答では「不適切」の方が多く、やや反対派有利に見える。
これを世代別に見ると、ややばらつきがあるものの、若年層ほど賛成派が多く、歳を経るにつれて反対派が増える傾向がある。
↑ 混雑緩和や道路の維持更新の財源確保のため、車が一定の地域に入る場合に料金を支払う制度をどう思うか(回答者世代別)
ただし同時に年齢が上がるほど「分からない」とする意見も増えており、考え方そのものがまだ十分浸透していない感は否めない。
一方地域別に見ると、世代別ほど大きな差異はないものの、地方に行くほど反対派が増える動きを見せている。
↑ 混雑緩和や道路の維持更新の財源確保のため、車が一定の地域に入る場合に料金を支払う制度をどう思うか(回答者居住地域別)
特に「小都市」「町村」では賛成派・反対派の比率優劣が逆転しており、注目に値する。「ロードプライシング」は都心部で行われることが多く、「なぜ都市部の問題であるのに、地方まで負担が発生しうるのか」という点を反発の源としているのかもしれない。
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