道路施策に求める最多意見は「災害に備えた対策を」
2012/12/13 08:30
内閣府は2012年12月3日、道路に関する世論調査の結果を発表した。それによると、全般的な道路行政に関して今後どのような方面に力を入れてほしいかとの質問に対しては、「大地震や津波、大雨、大雪などによる災害に備えた対策」との回答者がもっとも多く、5割を超えていることが分かった。6年ほど前に実施された同様調査ではトップだった、そして今回では次点の「狭い道路や急カーブの改良」を6ポイント強上回っており、先の東日本大地震による影響が色濃く出た結果となっている(【発表リリース】)。
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今調査は2012年10月4日から14日にかけて、日本国内で日本国籍を有する20歳以上の男女の中から層化2段無作為抽出法によって選ばれた3000人に対して行われたもので、調査方法は調査員による個別面接聴取法。有効回収数は1866人。男女比は847対1019、世代構成比は20代165人・30代266人・40代318人・50代275人・60代425人・70歳以上417人。
道路行政・施策には多種多様な方針、執行対象があるが、すべてを押し並べて一様に、全面的に施行するのは予算などのリソース面で不可能。必然的に重要性の高いものが優先され、後回しにされる案件も出てくることになる。
それでは回答者はどのような道路行政・施策を重要視して欲しいのか。複数回答で答えてもらった結果が次のグラフ。
↑ 各道路施策の今後の必要性(複数回答)
最多回答項目は「大地震や津波、大雨、大雪などによる災害に備えた対策」。55.7%の人が重視してほしいと答えている。唯一過半数を超えた選択肢で、第2位の「すれ違いが困難な狭い道路や急カーブの改良」と比べ、6.2ポイントもの差をつけている。6年ほど前に実施された同様調査(選択肢などに違いがあるため完全比較はできない)では、「すれ違いが-」がトップ、「大雨・大雪や地震などの災害への対策」が31.8%に留まっている。
↑ 各道路施策の今後の必要性(複数回答)(2006年7月時調査、一部抜粋)
いかに2011年3月の東日本大地震・震災の影響が回答に大きな影響を及ぼしているかが分かる。
これを世代別に見ると、概して若年層の方が要望率が高い。
↑ 各道路施策の今後の必要性(複数回答)(上位抜粋、世代別)
ただし個別を細かく見ると、世代別の特性が現れており、その多くが「自分が強く不便を覚えるもの」に対する値が大きくなっているのが分かる。例えば「分かりやすい標識の整備」では50-60代の値が若年層より高いのが特徴的。
「自らの利用に直接影響しうる対策を強く望む」傾向は、居住地域別の方が色濃く出ている。
↑ 各道路施策の今後の必要性(複数回答)(上位抜粋、居住地域別)
例えば前回調査でトップ、今回は第2位の「すれ違いが困難な狭い道路や急カーブの改良」は、都市圏よりも地方圏での要望が強い。一方「自転車の通行空間や駐輪施設の整備」は都市圏の方が高い値を示している。各状況下での需要を考えれば当然の話だが、同時に行政側の施策のかじ取りの難しさを示す要因ともいえよう。
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