道路や橋は「予防補修で長持ちさせる」が6割、「補修よりも作り直し」が2割強

2012/12/09 08:00

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道路作業員内閣府は2012年12月3日、道路に関する世論調査の結果を発表した。それによると、道路や橋などの道路構造物の維持や修繕、更新について、「痛みが小さいうちに予防的な補修を進め、できるだけ長持ちさせるべきだ」と考えている人が6割を超えていることが分かった。「傷みが大きくなってから補修し、必要に応じて更新・作り直しを進めるべき」だという人は1割強にとどまっている。また、「補修よりも積極的に作り直しを進めるべき」という人も2割強でしかない(【発表リリース】)。



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今調査は2012年10月4日から14日にかけて、日本国内で日本国籍を有する20歳以上の男女の中から層化2段無作為抽出法によって選ばれた3000人に対して行われたもので、調査方法は調査員による個別面接聴取法。有効回収数は1866人。男女比は847対1019、世代構成比は20代165人・30代266人・40代318人・50代275人・60代425人・70歳以上417人。

現実はゲームや漫画の世界と違い、時間と共に道路や橋、トンネルなどは経年劣化をし、耐久力などの点で問題が生じてくる。これら「インフラの高齢化」に対してどのような施策を行うべきかを、大まかに4つの選択肢から選んでもらった結果が次のグラフ。最多回答率を示したのは「傷みが小さいうちに予防的な補修を進め、できるだけ長持ちさせる」で60.7%を占めていた。

↑ 道路構造物の維持、修繕、更新の考え方(2012年10月)
↑ 道路構造物の維持、修繕、更新の考え方(2012年10月)

「できるだけ長持ちさせる」には暗に「長持ちさせた上で更新させる」をも意味しているが、まめなメンテナンスが第一義的なものとなる。現状のインフラ整備ではこの方針がメインとなっている。

次いで多いのは「補修するよりも積極的に更新を進める」で22.1%。傷みが確認できたら補修するよりもさっさと作り変えようという、アグレッシブな発想だが、2割強の支持者がいる。一方修繕による長期間の利用という点では「できるだけ長持ちさせる」と同じだが、ある程度の破損には目をつむるという「傷みが大きくなってから補修し、必要に応じて更新する」は11.6%に留まっている。「補修しない。橋が壊れて利用できなくなっても仕方がない」とする意見は1.7%でしかない。

これを回答者の居住地域別に見ると、多少ではあるが地方ほど「補修よりも積極的な更新」の意見が多く、「予防補修で長持ち化」が少ない傾向が確認できる。

↑ 道路構造物の維持、修繕、更新の考え方(2012年10月)(居住地域別)
↑ 道路構造物の維持、修繕、更新の考え方(2012年10月)(居住地域別)

とはいえ、その差は4-6ポイント程度で、わずかな差でしかない。全般的に「予防補修で長持ち化」の意見が大勢を占めていることに違いはない。

世代別に見るとばらつきがあり、一貫性は無いように見える。

↑ 道路構造物の維持、修繕、更新の考え方(2012年10月)(世代別)
↑ 道路構造物の維持、修繕、更新の考え方(2012年10月)(世代別)

世代による道路構造物の施策による考え方の違いには、さほど差はないようだ。ただし70歳以上において「分からない」の回答率が1割を超えており、「積極更新」の値も24.9%と大きめなのが目に留まる。「分からない」は自分の歳を考えた上で、どの選択肢がベストなのか判断に迷うところがある(道路施策は10年単位での戦略が求められる場合が多い)、「積極更新」もまた自分の目で新しい道路を見たい・利便性を実感したいという気持ちが強いのだろう。

「国土交通白書」などでも指摘されているが、今後は高度成長期に増設した道路をはじめとする既存インフラの整備補修、そして更新が求められる場所は累積的に増えていく。他方、道路をはじめとした社会資本・インフラに充当される予算は、いわゆる「建設族云々」「公共事業悪玉論」などの主張に押し切られる形で、1995年以降急減しているのが実情。

冒頭でも触れているが、現実の世界はゲームや漫画の世界では無く、すべてのモノは時間経過と共に老朽化し、基本スペックを発揮できなくなる。また利用状況にも変化が生じ、過去の想定では対応しきれない場面も出てくる。単純に叩きやすいから、音頭を取る人がいるからとばかりに声高にインフラ叩きをすることは、煽動している者達だけが利するばかりで、その他多くにとっては自分自身だけでなく将来に向けても「首を絞める」所業でしかないことを、改めて認識すべきではある。


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