「自分の資産・貯蓄に満足」3割近く、高齢者ほどより満足に(最新)

2025/02/11 02:37

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2025-0126内閣府は2025年1月9日付で、「国民生活に関する世論調査」の結果を公表した。その内容によれば、現在の自分の資産や貯蓄に満足している人は全体の3割近くにとどまり、不満を覚えている人は7割強であることが分かった。男女別ではわずかだが女性の方が、年齢階層別では高齢者の方が、より満足度が高くなる傾向が見受けられる(【発表リリース:国民生活に関する世論調査】)。

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調査要件などは先行記事【政府への要望、物価対策に医療・年金などの社会保障の整備(最新)】を参考のこと。

現在の生活において、資産や貯蓄の面で回答者自身がどれほど満足しているかを聞いたところ、全体では満足している4.3%・やや満足している24.4%となり、合わせて28.7%が「満足派」との結果となった。

↑ 現在の生活の満足度(資産・貯蓄、男女別)(2024年)
↑ 現在の生活の満足度(資産・貯蓄、男女別)(2024年)

逆に明確な不満を持つ人は31.5%、やや不満が39.3%となり、合わせて70.8%が「不満足派」。「満足派」と比べて42.1%ポイントもの開きを見せている。男女別ではやや女性の方が「満足派」が多いものの、その差異は3.5%ポイント。ほぼ誤差の範囲。

属性別の明確な差異が見られるのは、むしろ年齢階層別。

↑ 現在の生活の満足度(資産・貯蓄、年齢階層別)(2024年)
↑ 現在の生活の満足度(資産・貯蓄、年齢階層別)(2024年)

年齢階層別では50代で明確な不満の値が最大となる。次いで40代。【就職氷河期世代の方々への支援策(厚労省)】にもあるように、いわゆる就職氷河期世代が30代後半から50代前半であることを思い返すと、色々と考えさせられるものがある。

70歳以上になれば(大抵の場合は)消費する金額の方が多いので、現時点での資産・貯蓄の満足度は60代と比べて減ってもおかしくはない。ところがむしろ満足度が増えているのは、この年齢における退職金の額が現在の相場よりも大きかったことや、金銭に対する価値観の世代間での違いなどに起因しているものと思われる。また、自らが消費する金額が小さくなり、所有する資産・貯蓄との比較の点で、より大きく思える点もあろう。今件はあくまでも回答者の心境に基づくものであり、同じ金額でも個々の価値観によって判断・回答は異なることに注意しなければならない。



余談になるが、二つのグラフをよく見直すと、全体における「満足派」の結果は、多分に高齢者層のかさ上げであることが分かる。今調査結果は国勢調査などの結果を基にしたウェイトバックは行われていないが、調査対象数・回収率ともに高齢層ほど多めとなっている。調査対象数は層化2段無作為抽出法で決められた対象への調査のため、現在の人口比率に対するに近い値を示している。さらに回答率は若年層ほど低いため、余計に「国政などに積極的に意見を出して参加する、高齢者の意見が大いに反映される」といった現状を表す結果が出ている。

「資産・貯蓄への満足派は3割近く」を、現在の人口構成比率にマッチした「全体としての意見」と見るべきか。その上で年齢階層別の意見にも目を向けるべきか。考えさせられる結果ではある。意見を問われて黙っていたのでは、聞く側としても対応のしようが無いからだ。

ちなみに全体としての「満足度」の経年変化に関しては、かつては大きな動きは無かった。「満足派」4割前後、「不満足派」5割強から6割程度のラインを行き来していた。要は資産・貯蓄の上での現在の生活の満足度合いに大きな変化は無かった。

↑ 現在の生活の満足度(資産・貯蓄、満足派・不満足派別)
↑ 現在の生活の満足度(資産・貯蓄、満足派・不満足派別)

ところが2021年で大きな変化が生じている。これは新型コロナウイルス感染症への対策のため、過去の調査と比べると調査方法や設問様式に違いがあるのが一因だが、同じスタイルの2022年以降も継続して前年比で満足派の増加・不満足派の減少が生じていることから、単純なスタイル変更によるものだけが原因とは考えにくい(直近2024年ではわずかに前年より満足派が増え、不満足派が減ったが)。むしろ新型コロナウイルス感染症で生じた経済環境の変化、そしてさらにそれに重なる形で現在も続いている、ロシアによるウクライナへの侵略戦争で生じた世界的な資源高騰を起因とした物価高が、資産・貯蓄の上での現在の生活の満足度にも大きな影響を与えたと見なしてよいのだろう。


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