「節電」「防災」「絆」…震災後強く意識するようになったこととは?(2012年版)

2012/12/10 07:30

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節電内閣府大臣官房政府広報室は2012年8月27日、国民生活に関する世論調査の結果を発表した。それによると、2011年3月の東日本大地震・震災後において「生活の上で強く意識するようなったこと」を選択肢の中から複数回答型式で選んでもらったところ、もっとも多くの人が選択したのは「節電に努める」だった。5割強の人が同意を示している。次いで「防災」「家族・親戚とのつながりを大切にする」「風評にまどわされない」の順となっている。男女別では全般的に女性の方が同意率、つまり意識変化をした人の割合が高く、世代別では高齢層ほど周辺の人々とのつながりを重視し、金銭的な面では疎くなる傾向を見せている(【発表リリース】)。



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今調査は2012年6月14日から7月1日にかけて、全国20歳以上の日本国籍を有する者の中から層化2段階無作為抽出法で1万人を選んだ上で、調査員による個別面接聴取法によって行われたもので、有効回答数は6351人。男女比は3001対3350、世代構成比は20代569人・30代950人・40代1042人・50代1116人・60代1396人・70歳以上1278人。

2011年3月に発生した東日本大地震とそれを起因とする各種災害の後、人々のマインドは大きく変化したことが各種調査結果で明らかにされている。今件調査は震災から1年が経過した後の2012年6月-7月に実施されたものだが、その結果においても(震災の状況が現在も進行中であることも一因だが)強い影響を与え続けていることが分かるのが、今回の項目。設問の各項目は「なったこと」であり、一時的なものでは無く調査時点でも続いている、言い換えれば震災後に変化した心境を意味している。

↑ 震災後、強く意識するようになったこと(複数回答)(2011-2012年)
↑ 震災後、強く意識するようになったこと(複数回答)(2011-2012年)

最多回答項目は「節電」。数々の失政と謀略に等しい煽動で、震災後1年半が経過した現在もなお需給が極めて厳しい電力事情を考えれば、節電意識が高まるのも当然といえる。次いで8ポイント近く落ちるが「防災」意識の高まりが来る。これは被災地を中心に未だなお震災の傷跡が大きい状況にあることや、報道など一部で「必要を超える域」での煽りが繰り返されていることを考えれば、十分理解できるというもの。

また、震災をきっかけに周囲の人達との関係・大切さを再確認し、強く意識する動きも見受けられる。関連項目でもっとも多くの回答を得られたのは、一番身近にいる「家族・親戚」で、続いて「地域」、そして「友人や知人」の順。さらに今なお止むことなく続いている「風評」に対する防御姿勢も見受けられる。

昨年の値と比較すると、「節電」がやや減った一方、「防災」「家族・親戚とのつながり」が伸びている。前年比ではっきりと伸びを見せた項目はこの2つだけで、「守り」の姿勢が強化されている様子がうかがえる。

これを男女別に見ると、概して女性の方が高い値を示し、多くの面で男性以上に女性の意識が変化していることが把握できる。

↑ 震災後、強く意識するようになったこと(複数回答)(男女別)(2012年)
↑ 震災後、強く意識するようになったこと(複数回答)(男女別)(2012年)

【女性が高め、高齢者は長め…本震後の自粛意識傾向】【震災後の節電意識の高まり8割近く、中堅女性層は特に高い傾向】など多数の調査結果でも、2011年の震災における各種反応は、女性・高齢者の方が高頻度・高レベルであることが確認されている。今回調査でも「節電」「近しい人たちとのつながり」「食品の安全」など、特に生活の身の周りの項目で、女性は男性と比べ高い値を示しているのが確認できる。

最後に世代別。こちらは男女別とはまた別の、注目に値する動きが見えている。

↑ 震災後、強く意識するようになったこと(複数回答)(世代別)(2012年)
↑ 震災後、強く意識するようになったこと(複数回答)(世代別)(2012年)

冒頭で触れたように、高齢層ほど地域とのつながりなど自分自身へダイレクトに関係することに強い意識を持つようになる一方、寄付や消費など金銭面での行動・意識は若年層と比べて敬遠している。より具体的に「自分自身の防御」を優先する判断の結果、このような傾向を見せたものと思われる。一方で「風評への構え」「家族や親戚とのつながり」において、高齢者があまり配慮をしていないのが気になるところ。後者は「元々高い意識を持っている」ということなのだろうか。

また多くの項目で30-50代の中堅層がピークを迎えている。震災は特に中堅層において、大きな意識・心境の変化をもたらしていると見ることができよう。



意識・心境の変化はさまざまな方面に影響を及ぼすようになる。消費性向の変化(主に「守り」の姿勢)は良く聞かれる話である。他方、今件項目中で「注意すべき」と上位に入っているものの、流言・風評に惑わされる人が多いのも否定できない。

今件項目に挙げられているような、良い方向性を持つ変化なら許容すべきではあるが、本人はもとより周囲にまで迷惑となるような意識の変化は、早く元に戻ってほしいものではあるのだが。



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