日本の常任理事国入り、国内賛成派は9割近く(最新)

2024/01/30 02:50

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2024-0122内閣府は2024年1月19日、外交に関する世論調査の結果を発表した。それによると調査時点において、日本が「国連の安全保障理事会における常任理事国入りすること」に賛成の意見を持つ人は9割近くの割合であることが分かった。反対派は1割足らずにとどまっている。過去からの推移を見ると、イラク戦争とその後の国連平和維持活動(PKO)時においてやや反対派が増加する動きを見せているが、それを除けば全般的に賛成派が増えている。また前回調査結果との比較では反対派が増え、賛成派が減っているのが確認できる(【発表リリース:外交に関する世論調査】)。

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今調査の調査要項は先行記事【日本のアメリカ合衆国への親近感87.4%、対中親近感はやや悪化(最新)】を参照のこと。

国連の主要機関の一つである安全保障理事会は、常任理事国5か国と非常任理事国10か国から構成されている。前者はアメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中国で不動だが、後者は2年単位で改選が行われる。今件に絡み日本が安保理の常任理事国に加わるか否かについて、どのような考えを持つのかを「日本国内で」尋ねた結果が次のグラフ。直近では賛成が45.0%・どちらかといえば賛成が43.7%となり、合わせて88.7%が賛成派との結果になった。

なお2020年以降の調査では新型コロナウイルス流行の影響を受けて郵送調査で実施されており(原則は調査員による個別面接聴取法)、「分からない」の項目が値として存在せず、その設問について何も回答しなかった「無回答」が代わりに表示される結果となっている。グラフでは「分からない」の項目にこの「無回答」の値を当てはめている。

↑ 日本の国連安全保障理事会の常任理事国入りについて(2010年以降)
↑ 日本の国連安全保障理事会の常任理事国入りについて(2010年以降)

反対派が少ないのは赤系統色の面積が小さいことからも明らかだが、明確な反意を意味する濃いオレンジ部分がわずか2.1%なのに注目したい。賛成派はその内部では半数超えが明確な賛意なのに対し、反対派の明確な反意はその内部での2割台。

賛成派(賛成+どちらかといえば賛成)・反対派(反対+どちらかといえば反対)・分からないに区分し、過去の調査結果の推移をグラフにしたのが次の図。

↑ 日本の国連安全保障理事会への常任理事国入りについて(簡易表記)(1994年以降)
↑ 日本の国連安全保障理事会への常任理事国入りについて(簡易表記)(1994年以降)

一番古い調査結果となる1994年の時点ですでに賛成派が過半数に達しているが、意思を決めかねる人も3割近くいる。そして年々「賛成派増加」「分からない・反対派が減少」の流れで進んでいくものの、2003年から一時的な「賛成派の減少」「反対派の増加」が確認できる。これは2003年のイラク戦争、そしてその後の平和維持活動によるところが大きい。しかしその流れも数年で収まり、再び「賛成派の増加」で状況は推移しつつある。

調査範囲期間内では2010年で一度ピークを迎えた「賛成派」だが、2011年には大きく減少している。これは2011年3月に発生した東日本大地震・震災に伴い、国内情勢が不安定なものとなり、「常任理事国入りを検討するのは後回し、余裕など無い」という思惑が生じた結果の動きと考えられる。しかし復興が進むに連れ、心境的に余裕も出てきたこともあってか、再び「賛成派」は増加の動きを見せた。

だが2013年を頂点にそれ以降「賛成派」は7割後半に戻ってしまっている。昨今の国連本体や関連機構における判断内容に関する懐疑感の高まりや、実行力の低下を受け、常任理事国入りへの意義を判断しかねる、否定的判断をする人が増えている可能性はある。2020年以降は賛成派が9割前後を示しているが、これは前述の通り2020年からの調査方法の変更による影響を受けた可能性がある。見方を変えれば調査員による個別面接聴取法では「分からない」と回答していた人の多くは、心境としてはどちらかといえば賛成派だったのかもしれない。さらにロシアによるウクライナへの侵略戦争で、日本の世界の中での外交的立ち位置を考える人が増えたのも一因だろう。

今後、仮に常任理事国の定数が増加するにしても、立候補した、あるいは推挙された国自身の意思だけで、増加分の国が決まるわけではない。さまざまな他国の思惑が絡んでくる。常任理事国、そして国連そのものの存在意義の再確認・再検証が求められる中、今後国内世論がどのような変化を見せて行くのか、気になるところではある。


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