違法ダウンロードの刑罰化、知っていた人は約7割
2012/11/21 06:50
内閣府は2012年11月15日、知的財産に関する調査結果を発表した。それによると「他人のコンテンツを許諾なくインターネット上で公開・共有すること」が違法行為にあたると知っていた人は3/4強であることが分かった。2割強は「知らなかった」と答えている。また有償公開のコンテンツが無断で違法に公開されており、それを知りながらダウンロードする行為が刑事罰の対象になることを知っていた人は約7割にとどまっていた(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は2012年10月4日から14日にかけて、20歳以上の日本国籍を有する人に対して調査員による個別面接聴取法によって行われたもので、有効回答数は1866人。男女比・世代構成比は非公開。
音楽、映画、テレビ番組、マンガなどのコンテンツは著作権で保護される著作物であり、他人が権利を有する著作物を許諾なくインターネット上で公開・共有したり、許諾なく公開・共有されているものであることを知りながら音楽、映画、テレビ番組などの著作物をダウンロードすると、原則として違法となる。これらの行為は正規品の販売を阻害し、産業を衰退させる原因となるほか、創作者への利益の還元がされないために新たな創作活動の基盤を損なうとの指摘もされている(2012年10月1日の著作権法改訂で、個人に使用する目的でも刑事罰の対象となった。【啓蒙ページ:STOP!違法ダウンロード】、【文化庁:違法ダウンロードの刑事罰化についてのQ&A】)。
そこでまずは調査母体に対し、インターネットの利用状況を聞いたところ、ある程度以上の頻度で利用している人は53.3%だった。携帯電話経由を含めてもこの値であり、多分に調査母体においては高齢者の比率がやや高いものと考えられる。
↑ インターネット利用状況(パソコン、携帯を問わず。私用、仕事を問わず。ウェブ閲覧やメール送受信等)
見方を変えれば、4割強の人は普段インターネットに触れる機会は(ほとんど)無いということになる。
その上で、上記にある通り「他人が権利を有する著作物を許諾なくインターネット上で公開・共有する」行為が違法であることを知っていたか否かを聞いたところ、3/4強が知っていると回答した。
↑ 他人のコンテンツを許諾なくインターネット上で公開・共有することが違法だと知っていたか
経年上昇率はわずかで、しかも2回分のデータしかないため、今後定期的な継続調査が望まれるが、少なくとも今件に限れば認知度の高まりが確認できる。インターネット利用率が5割強の中では、悪くない結果といえよう。
そして今件調査の実施直前に改正施行された著作権法により、個人利用でも刑事罰対象となった、「他人が権利を有する著作物を許諾なくインターネット上で公開・共有したり、許諾なく公開・共有されているものであることを知りながら音楽、映画、テレビ番組などの著作物をダウンロードする行為」について、その刑事罰対象の事実を知っていたか否かを聞いたところ、7割近くの人は知っていると回答した。見方を変えれば、3割強は知らなかったということになる。
↑ 有償で提供されているコンテンツが違法にインターネット上で公開・共有されたものだと知りながら、それをダウンロードする行為が、刑事罰の対象となることを知っていたか
こちらもインターネット利用率5割強の調査母体では、そして事前から啓蒙活動が行われていたとはいえ「違法ダウンロードの刑事罰化」施行直後の回答としては、良い値の部類と考えられる。今後はインターネット利用者・非利用者を問わず、さらなる啓蒙が必要となるだろう。今現在インターネットを利用せず、違法ダウンロードのリスクが無い人でも、今後利用することは十分に考えられるからだ。
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