中学生は平均3860円…子供のこづかい額(最新)
2024/03/31 02:43
他世帯の事情がつかみにくい一方で、世間全般の状況、平均度合が非常に気になるお金関連の話の一つが「子供のこづかい額」。各家計のお財布事情や教育方針、周辺環境によって実情は大きく影響を受け変化をするが、「世間ではこの年頃の子供にはどれぐらいの額のこづかいが与えられているのだろう」と、気になる保護者も多いはず。そこで金融広報中央委員会の「知るぽると」が毎年調査・結果の公開をしている、家計の金融行動に関する世論調査の公開データを介し、「子供のこづかい額」について現状や経年変化を確認していくことにする(【家計の金融行動に関する世論調査】)。
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調査対象母集団(当然二人以上世帯のみ)のうち子供がいる世帯に対して、その子供に渡しているこづかいの金額を尋ね、平均値を算出した結果が次のグラフ。例えば小学校入学以前の子供に対してはよくあるケースだが、何か欲しがった時に買い与えるなどして、普段はこづかいを渡していない世帯は平均の計算には含まれていない。
↑ 子供のこづかい額(二人以上世帯、回答世帯平均、子供の通学先別、円/月)(2023年)
小学生は2000円前後で法則性のたぐいは無く、中学生では3860円が平均額となる。高校生では6629円、大学生は(こづかいをもらっているとすれば)平均で2万2208円。相場観としては「大体こんなところか」「やや中高生の額が低いような」との感想を抱かせる値ではある(この理由は後ほど推測する)。
このこづかい額の平均推移を高校生以下に限り(大学生はケタ違いに大きいためグラフが見難くなるので省略)、1971年以降について見たのが次のグラフ。今世紀限定のも併記する。
↑ 子供のこづかい額(二人以上世帯、回答世帯平均、子供の学校種類別、円/月)
↑ 子供のこづかい額(二人以上世帯、回答世帯平均、子供の学校種類別、円/月)(2001年以降)
1980年にかけて一定の上昇が見られた後は、高校生以外は(多少の起伏はあれど)ほぼ一定額を維持しているのが分かる。
小学校入学以前は安定感が低く、1000円前後を大きく行き来し、2016年では2300円近くに跳ね上っているが、これは対象世帯数が少ないのが原因。詳細値の2016年分を確認すると、小学校入学以前の子供を持つ世帯数は、今調査対象母集団においては17世帯のみとなっていた。さらに例えば2016年で確認できる範囲では、最高額が3万円、最低額が100円となっており、大きなぶれが生じるのも仕方がない。
消費者物価指数が1980年後半以降、ほとんど変動していないのは【1950年と比べて8.91倍…過去70年あまりにわたる消費者物価の推移(最新)】で解説した通り。子供のこづかい額も中学生・高校生向けの金額については、それに大体即している形となる。
一方1980年代後半では中学生・高校生で明らかに大きな減少、小学生でも小規模な減少が見受けられる。いわゆる「バブル崩壊」の少し前に、子供のふところ事情には崩壊が起きていたことが確認できる。
高校生については前世紀末から起伏を繰り返しながら、少しずつ減少する動きが見られる。単に親の懐事情が厳しくなっている、あるいは高校生が使う携帯電話の電話料金を親に(一部)肩代わりしてもらう代わりに、フリーハンドで使えるおこづかいが減らされているのか。後者と考えた方が道理は通る。その実情は同じ金融広報中央委員会「知るぽると」で定点観測されている「子どものくらしとお金に関する調査」の結果からも明らかにされている(【中高生の携帯電話料金事情(2016年)(最新)】)。
他方、2021年では子供の学校種類を問わず、大きな増加が生じている。これは突然子供のこづかい関連で景気がよくなったのではなく、二人以上世帯における調査方法が従来の訪問・郵送の複合・選択式から、2021年以降はインターネットモニター調査法に変更されたことが影響しているものと思われる(調査文言に変更は無し)。
なお世帯年収別で子供のこづかい額が変わるか否かだが、少なくとも今調査に限れば関連性はほとんど見られない。かろうじて高校生が高年収の世帯ほど子供のこづかい額も大きくなるように見える程度か。
↑ 子供のこづかい額(二人以上世帯、世帯年収別、円/月)(2023年)
世間一般にイメージされるような「世帯年収が多いほどこどものこづかいも多くなる」といった傾向は見られないようだ。
余談となるが、同資料には2007年以降の仕送り額について、送る側・受ける側双方の平均金額も寄せられている。
↑ 仕送りの支払い・受け取り額(回答世帯平均、万円/月)
全般的に「仕送りする額」が「仕送りを受ける額」よりも大きくなっているのは、回答母体が「二人以上世帯」に限定されているため。「仕送りする側」が送る相手は単身世帯の学生の可能性もあり、それ相応の額が必要になる。一方、受ける側は二人以上世帯のため「就労世帯だが手取りが少ないので、補助を親世帯から受けている」事例が多分に考えられるため、額面も少なめとなる。
経年変化を見ると、2010年の下落(イレギュラーか、リーマンショックの影響だろう)をのぞけば、少しずつ増える傾向が見受けられた。2012年は双方とも大きく減ったが、2013年以降は再び持ち直し、増加基調を示している。仕送りを受ける側にしてみれば有りがたい話だが、送る側にはやりくりが大変な状況になりつつあるともいえよう。ただし2014年をピークに、仕送りする側もされる側も、額面は減少するような動きを見せていた。2021年以降で増加しているのは、調査方法の変更によるものだろう。
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