「避難生活に伴うストレス」「差別的な言動」「いじめ」…懸念視されている東日本大震災関連の人権問題
2012/11/01 06:55
内閣府は2012年10月22日、人権擁護に関する世論調査の結果を発表した。それによると、日本における人権課題のうち東日本大地震・震災に関連した問題で関心を寄せている項目としては、「避難生活の長期化によるストレスに伴ういさかいや虐待」と答える人がもっとも多く、回答率は6割を超えていたことが分かった。次いで「差別的な言動をされること」「職場や学校などで嫌がらせやいじめを受けること」などが続いている(【発表リリース】)。
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今調査は2012年8月23日から9月2日にかけて、20歳以上の日本国籍を有する人を対象とし、層化2段無作為抽出法で3000人を選択。それらの人に調査員による個別面接聴取法で尋ねたもので、有効回答数は1864人。男女比は841対1023、世代構成比は20代151・30代248・40代324・50代315・60代417・70歳以上409。
東日本大地震・震災やそれに関連する形での福島第一原子力発電所の事故などにより、現在被災者にどのような人権問題が起きていると思うかについて尋ねたところ、もっとも多くの人が同意を示したのは「避難生活の長期化によるストレスに伴ういさかいや虐待」だった。64.9%もの人が避難生活が長期化することにより、ストレスが蓄積され、トラブルが生じているのではないかという懸念を抱いている。
↑ 東日本大震災による直接・間接的な被害により、被災者にどのような人権問題が起きていると思うか(複数回答)
第二位は回答率が22.2%と大きく下がるが「差別的な言動をされること」がついている。第三位の「職場、学校などで嫌がらせやいじめを受けること」とほぼ同意であり、ゆゆしき問題といえる。
これを男女別に見ると、他の設問同様に女性の回答率がやや高めだが、大きな違いはない。東日本大地震・震災周りの人権問題については事象の発生からまだ日も浅く、現在も進行形のものが多いことから、少なくとも性別の差異は起きていないようだ。
↑ 東日本大震災による直接・間接的な被害により、被災者にどのような人権問題が起きていると思うか(複数回答)(男女別)
最後に回答者の世代別。意外にも若年層ほど高い懸念意志を示しており、高齢者ほど関心度は低い。周囲や報道から対象となる「問題」を聞いていないのか、該当しそうな状況を知っていても問題だとは思っていない・当たり前だと考えているのか、あるいは単に慣れているだけなのか。今件だけでは判断は難しい。
↑ 東日本大震災による直接・間接的な被害により、被災者にどのような人権問題が起きていると思うか(複数回答、世代別、具体的項目のみ)
とはいえ、例えば「避難生活の長期化によるストレスに伴ういさかいや虐待」で、世代間にて最大30ポイント以上もの差が出ているのは多分に気になるところではある。この類の問題は性別・世代を超えて認識し、解決意識を持たねば、解決は容易ではないからだ。
今件はあくまでも第三者による関心度のあるなしを示したものであり、実際の人権値問題の発生度・数を示したものでは無い。他方、東日本大地震・震災に直接・間接的な事象を用い、不特定多数を惑わし、驚かせ、煽動し、自らのふところを温めたり、権益を拡大するという「不逞の輩」は減るところを知らない。一部報道機関や公的立場にある人の中にも、率先してそのような行為に走る者が確認されている。
得てしてそのような煽動に惑わされやすい傾向がある高齢者には、本人自身も合わせ、十分啓蒙は行われねばなるまい。
■関連記事:
【震災がれき処理の現状(2012年9月30日時点)】
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