米ソーシャルメディア利用者の政治的アクション性向
2012/10/23 12:00
アメリカの調査機関【Pew Research Center】は2012年10月19日、アメリカにおけるソーシャルメディアと政治活動に関する報告書【Social Media and Political Engagement】を発表した。今回はその中から、ソーシャルメディア利用者がどのような政治的行動をしているかについて見ていくことにする。
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今調査は2012年7月16日から8月7日にかけて、RDD方式で選ばれたアメリカ国内に住む18歳以上の人に対し、電話による対話質問方式(使用言語は英語とスペイン語)で行われたもので、有効回答数は2253人。固定電話による回答者が1353人、携帯電話による回答者が900人(うち469人は固定電話非保有者)。インターネット利用者は1873人。2011年の国勢調査結果に基づきウェイトバックが行われている。
アメリカの大統領選挙が近い近いこともあり、昨今では選挙や政治とインターネット、特にソーシャルメディアとの関係に絡んだ調査が行われている。今件もその一つで、ソーシャルメディア利用者はどのような形で、どれ程の人が政治活動(日本語的には大げさに聞こえるが、要は「政治的な要素を含む書込み」がメイン)を行っているかを尋ねている。
後日改めて精査するが、今調査母体ではインターネット利用者の69%がFacebookなどのSNSを、16%がツイッターを利用している。その値を念頭に置いた上で、次のグラフを見てほしい。
↑ 次のような政治的行動をしているか(ソーシャルメディア(ツイッター含む)利用者限定)
ソーシャルメディア利用者の2-3割強が、それぞれの政治的要因・アクションに対し「行っている」と回答している。特に政治的要素を含む話の評価(批評)や喧伝の回答率は高い。ツイッターやFacebookなどで、特定の候補者や政治家をフォローし、その動向に注目をする人も2割は居る。
これを世代別に見ると、大きな世代間格差が確認できる。
↑ 次のような政治的行動をしているか(ソーシャルメディア(ツイッター含む)利用者限定)(世代別)
全般的にはいずれの項目でも、若年層の利用率が高い。今件はインターネット利用者限定では無く、ソーシャルメディア利用者限定なので、「若年層の方がソーシャルメディア利用率が高い」という状況には左右されない。ソーシャルメディア利用者においても、若年層の方が政治的な用件では行動的であるのが分かる。
特に自らの意思が強い項目で、世代間の違いが大きくなっている。逆に「他人に投票を促す」「政治的な話を転載する」など自分の政治意識があまり表に出ない(転載はあくまでコピーであり、そのコピーを行ったこと自身が「意志」ではあるが、それ以上の自分の考えは反映されない)行為では中堅層以降も若年層同様に高い値を示している。
今報告書では概観として、若年層のソーシャルメディア利用者ほど積極的に自分の考えをネット上に提示し、活動的であるとの結論を見出している。今調査を見る限り、その意見に間違いはなさそうだ。
そして今件グラフはあくまでも元々若年層の値が高い「ソーシャルメディア利用者」限定なことを考慮すると、「インターネット利用者」さらには「大人全体」の仕切りで見れば、さらに世代間格差が開きそうではある。
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