6割近くが自宅通い…大学生の自宅・下宿割合の推移(最新)

2025/02/07 02:42

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2025-0124大学生活をはじめるにあたり、少なからぬ人が楽しみにしている事柄の一つに「(下宿での)一人暮らし」がある。大義名分は「自宅通学では通学時間が長すぎる距離に大学があるため」だが、多分に「人生初めての親元から離れての生活」に色々な思いを秘めるもの。それでは実態として、大学生のうちどの程度の割合が、下宿での生活をしているのだろうか。独立行政法人日本学生支援機構が2024年11月15日に発表した【「令和4年度学生生活調査」】などの内容を基に、大学昼間部における居住形態の推移を見ていくことにする。

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先に【自宅通学の大学生、平均通学時間は片道1時間強(最新)】でも記したが、同じ大学生でも居住形態が異なると通学時間は大きな違いを見せる。さまざまな事情があるにせよ、一般的には自宅通いの方が通学時間は長い。

↑ 通学時間(大学昼間部、片道、分)(2022年度)(再録)
↑ 通学時間(大学昼間部、片道、分)(2022年度)(再録)

そこで実際にどれ程の割合の大学生が自宅通いなのか、下宿通いなのかを見比べたのが次のグラフ。直近となる2022年度では大本の資料には国立・国立・私立それぞれの値のみが記されており、全体としての平均値は無い。そこで全体の平均は文部科学省の学校基本調査の該当年分(2022年度分)から大学生の数を確認し、その値を用いて加重平均で算出した。

それによるとすべてを合わせた大学昼間部全体の推移だが、全般的には自宅が5割前後、学寮が1割足らず、下宿などが3-4割程度となる。直近の2022年度分では大学の種類別のものもグラフを作成し、状況の把握を試みる。

↑ 居住形態別学生数比率(大学昼間部、全体平均)
↑ 居住形態別学生数比率(大学昼間部、全体平均)

↑ 居住形態別学生数比率(大学昼間部、大学種類別)(2022年度)
↑ 居住形態別学生数比率(大学昼間部、大学種類別)(2022年度)

まず全体の経年動向だが、少しずつ自宅通いが増え、学寮や下宿などの利用者が減っている。直後にグラフ化するが、国立・公立大学生の自宅通い率はほぼ横ばいのままなので、私立大学生の自宅通い率の増加が全体にも影響を及ぼしている。2016年度の自宅割合の減少はイレギュラーだったようだ。

そしてその私立大学生だが、直近の2022年度では2/3近くが自宅通い。下宿などの利用者は3割足らずに過ぎない。国立の下宿利用率6割強、公立の5割台半ばとは大きく差が開いている。これは大学の立地・地域性(私立大学は国公立大学と比べると数が多く、地域分散度合いが大きい)にもよるが、それ以上に学費負担の大きさが影響していると考えてよい(見方を変えれば、費用負担の面で公立・国立大学だからこそ、下宿などが許されやすいともいえる)。

私立大学生は元々自宅通いの比率は高かったが、さらに増加の動きを示している。公立・国立に大きな変化が見られないのと比べ、特異な動きといえる。

↑ 居住形態別学生数比率(大学昼間部、自宅通学者比率、大学種類別)
↑ 居住形態別学生数比率(大学昼間部、自宅通学者比率、大学種類別)

私立大学生の自宅通い率は2000年度から2022年度にかけて10.3%ポイントの増加。グラフ化は略するが(2010年度までは)学寮利用率はほぼ横ばいで、下宿利用率が確実に減っていることを併せると、自宅世帯では学費などの負担が重く、さらに負担が予想される下宿での修学を断念し、自宅通いの選択をする事例が増えていることが考えられる。



昨今では大学でも学生不足の話をよく耳にするようになった。今件状況を見るに、特に私立大学では学費を安くすればよい感もある。しかし単に学費を安くするだけではチキンレースとなりかねず、大学側ではむしろ予算不足が叫ばれている昨今、中長期的にはよい施策とはいい難い。

大学側としては大学自身の経営安定と学生の負担減の双方が得られる、そしてもちろん大学の存在理由としての学び舎の立ち位置を維持可能な施策を模索し、進めていくことが求められよう。


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