学参がプラス…出版物の種類別売上の変化(前年比)(最新)

2024/12/31 02:33

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2024-1226昨今は「出版不況」「書籍不況」なる言葉も日常化し、紙媒体に関しては書籍に限らず新聞、そして手帳などの文房具ですら、ビジネスの上で厳しい状態が続いている。これもひとえにデジタル機器の普及に伴う、利用者側の購入・利用性向の変化によるもの。今回はその中から特に景況感の上で取り上げられることが多い出版物の売上状況について、主要種類別に関する動向を、日販の「出版物販売額の実態」最新版(2024年版)を基に確認していくことにする。

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出版物の種類別、売上高の前年比を記したのが次のグラフ。前年2022年分(今件では年度算出ではなく年算出、1月から12月の集計であることに注意)と比較するとプラス種類は「学参」のみ。「文芸」がプラスマイナスゼロで、それ以外はすべてマイナス。なお分類中「実用書」は「地図旅行」も含んでおり、「学参」は「辞典」も含み、「事典」「日記」「手帳」「その他」をまとめて「総記」と呼んでいる。

↑ 分類別売上高前年比(2023年)
↑ 分類別売上高前年比(2023年)

「学参」が唯一プラスを示しているが、日販の【2023年 年間ベストセラー総合第1位は『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』(ダイヤモンド社)】で確認すると、『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』が大いにヒットし、「学参」だけでなく総合でもトップにつく勢いだったとのこと。それほどの売れ行きならば、「学参」がプラスになるのも納得ではある。

10%以上の下げ幅を示したのは「新書」の1種類。前年における前年比はマイナス9.3%で、プラスへの反動があるにもかかわらずマイナスを示してしまった。「新書」は2020年以降毎年前年比で1割前後のマイナスのため、2023年もまた同じようなペースで減少してしまったのだろう。

その「新書」以外にも、「コミック」「児童書」「ビジネス」「専門」などが小さからぬマイナス幅。多少の差はあれど、2023年は「学参」「文芸」以外は押しなべて不調だったようだ。普段は堅調な数字を示す「児童書」ですら大きなマイナスを示しているのは、憂慮すべき状況に違いない。



2014年分までの記事ならばこの後に、書店面積別の動向分析が入るのだが、「出版物販売額の実態」の2016年版(2015年分)からは関連値が非公開となってしまい、言及ができなくなってしまった。小規模、個人経営の書店の閉店が相次ぐ中で、状況把握には大いに役立つ内容だっただけに、残念でならない。


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(C)日販 ストアソリューション課「出版物販売額の実態2024」

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