国で異なるネット上の「他人格でのふるまい」と「うそ」の傾向

2012/10/11 12:10

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新聞半導体メーカーのインテルは2012年9月5日、諸外国の携帯電話・インターネットの利用性向とマナーに関する調査結果を発表した。そこには主要8か国(オーストラリア、ブラジル、中国、フランス、インド、インドネシア、日本、アメリカ合衆国(アルファベット順))におけるデジタルマナーの認識の共通点、国毎の違いが見える結果が多数記載されている。今回はその中から「ネット上でのうそ」と「自分本人以外としてのネット上での振る舞い」について見ていくことにする(【発表リリース】)。



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今調査は2012年3月にアメリカ合衆国(以下アメリカ)国内の18歳以上、そしてそれとは別に13-17歳の男女に対してオンラインで行われたもの。同様の調査が2012年6-8月に18歳以上、13-17歳の男女に対しオーストラリア、ブラジル、中国(18歳以上のみ)、フランス、インド、インドネシア、日本に対して行われ、統計値が用いられている(全体で大人7087人・子供1787人が回答)。また今件調査におけるモバイル(端末)とはスマートフォン、タブレットマシン、ラップトップ、ネットブック、一般携帯などを意味する。

まずはインターネット上では本来の自分自身とは別人格を持って、他人と接しているか否かという問題。Facebookのように実名登録原則との場になれば、現実で相対する人との接触も多く、「猫をかぶる」ことは難しい。それでもなお、実名を使いつつ、本来の自分とは異なる行動様式で振る舞う人も少なくない。さらに(Facebookに限らず)ハンドルネーム(ネット上のペンネームのこと)を使い、本人とは別の人物として過ごしている人も多々見受けられる。

↑ 実世界とは別の「人物像」をオンライン上に持っている(大人/子供)
↑ 実世界とは別の「人物像」をオンライン上に持っている(大人/子供)

国毎に大きな差異が見られるが、概して西洋系諸国では低め、東洋系では高めの値を示している。掲示板全盛時代から続く、インターネット上での実名主義・匿名主義の違いがそのまま表れている感は強い(Facebookなどのソーシャルメディアが浸透する以前の、インターネット上のコミュニティの場として多用された掲示板では、西洋系のシステムはその多くが「登録制・会員として書込み」。他方、例えば日本の場合は登録せずとも無記名で書き込めるタイプのシステムが主流だった)。特に日本では55%と過半数の人が別の「人物像」を保有している。

大人と子供との差異では国によってまちまちで、特に法則性は無い。アメリカやインドでは子供の方が大幅に多いあたり、意外ともいえる。

さて次に、インターネット上に嘘の情報を流したことがあるか。原文では「False」という言い回しが使われており、単純に間違った、正確さに欠けた、勘違いしたなど(あるいは結果的に嘘となってしまった)の「Wrong」よりは、発した時点で真実でないと認識している、意図的な嘘の意味合いが強いと考えて良い。なお今件は大人のみを対象としている。

↑ 嘘の情報をネット上に流したことがある
↑ 嘘の情報をネット上に流したことがある

こちらも日本がもっとも高く3割近く。他国は2割前後にとどまっているが、インドネシアの7%という低さが目に留まる。今調査他項目でも見受けられるが、同国の宗教観・倫理観が誠実さを後押しし、結果として表れているのかもしれない。



インターネット上に別人格を設定し、その設定上で対応することは、特に問題が生じるわけではない。「成り切り」という考え方、プライベートが知られると困る人、さまざまな事情がある。一方で「意図的なウソ」は「デマ」「煽動」にも類する(あるいは同一視される)もので、発した本人は利益を得て快楽を覚えるかもしれないが、多くの人が不快さを覚え、実害をこうむることになる。

例え本人が目の前にいなくとも、ネットを介して伝わった情報の先には、特定、あるいは不特定多数の「人間」がいることを忘れないでほしいものである。


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