アメリカで聞いた「地域ニュースの共有化、参加してる?」
2012/10/07 06:40
アメリカの調査機関【Pew Research Center】は2012年9月26日、アメリカにおける地域社会と情報伝達・取得様式に関する報告書【How people get local news and information in different communities】を発表した。今回はその中から、自分が住まう地域のニュースに関して、インターネット上での共有(情報を得るだけでなく、他の人に知らしめたり付加価値をつけたり、新たに情報を投稿する)しているか否かについて見ていくことにする。
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今調査は2011年1月12日から25日にかけてアメリカ合衆国内に住む18歳以上の男女のうち、RDD方式で選ばれた電話番号に対してかけた人を対象に、通話インタビューにて行われたもので、有効回答数は2251人。そのうち固定電話は1501人、携帯電話は750人(うち332人は固定電話無し)。インターネット利用者は1762人。2010年の国勢調査結果に従ったウェイトバックが行われている。
今報告書では居住地域の様式・開発度を4つのタイプ「大都市」「大都市付近の近郊」「小都市、街」「地方」に区分している。しかし設問・報告書にはそれらを区分する明確な定義は無く、回答者がこの4区分の中から「自分の判断に従い」回答している。世間一般の常識として浸透している区分で答えていると考えれば、まず間違いはない。
↑ あなたはどのタイプの環境に住んでいるか(再録)
大都市でも地方でも、自分が住む地域は生活の拠点となる「地元」であり、日常生活を営む上でさまざまな地域情報・ニュースが必要とされる。そして多分にソーシャルメディアの形式を取る情報源では、読み手自身も情報発信者として情報を投稿したり、第三者にその情報の存在を知らしめて情報公知・拡散を手助けすることになる。このように、地域ニュースの創作や公知に、何らかの形で(インターネットを使って)能動的に参加しているか否かを尋ねたところ、大都市や都市近郊で高い参加率が確認できた。
↑ 地域ニュース創作・公知に何らかの形で能動的に参加しているか
大都市よりも都市近郊での参加者率が高いのが気になる。そこで具体的にどのような形で参加しているかを尋ねたのが次のグラフ。大都市ではソーシャルメディアへの投稿やツイッターでの発言、ブログへのコメント記述、タグ付などの点で他の地域より高い値を示しているが、唯一電子メールで他人へサイトや動画を紹介する行為では都市近郊の方が実施率が高い結果が出ている。
↑ 地域ニュースへの参加の仕方
元々都市圏の方が若年層が多く、デジタル技術に若年層は長けているため、結果として地方よりも都市の方が「インターネットでの」情報共有率が高くなるのは容易に理解できる。一方、大都市よりも都市近郊の方が参加率・一部具体的な項目で高い件について、元記事では具体的な説明は無いが、
・大都市近郊では中堅層(特にX世代:35-46歳)の割合が他の地域よりも多い。
などの傾向が示されている。これを見ると、「それなりに財力を持ち機材を備え、しかもデジタル技術に長けていることが多い中堅層が、積極的に(文字だけでなく画像・映像という意味で)多方面で参加し、しかも広い横のつながりを利用して知人に知らしめている」結果、その中堅層が多い大都市近郊で高い値を示しているものと思われる。
また報告書では「大都市と都市近郊では、モバイル端末を使った地域ニュース・情報の取得性向が高い」「地方ではモバイルクーポンを手に入れるため、モバイル端末を使うことが多い」などの話も記されている。地域ごとの世代構成や生活様式により、モバイル端末の使い方の違いや地域ニュースへの参加度合いも異なる傾向は、日本にもそのまま当てはまりそうで興味深い話ではある。
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