居住地域により異なる米でのニュース関心項目
2012/10/03 12:00
アメリカの調査機関【Pew Research Center】は2012年9月26日、アメリカにおける地域社会と情報伝達・取得様式に関する報告書【How people get local news and information in different communities】を発表した。今回はその中から、居住地域の様式別におけるニュースの種類別・興味関心度の高低について見ていくことにする。
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今調査は2011年1月12日から25日にかけてアメリカ合衆国内に住む18歳以上の男女のうち、RDD方式で選ばれた電話番号に対してかけた人を対象に、通話インタビューにて行われたもので、有効回答数は2251人。そのうち固定電話は1501人、携帯電話は750人(うち332人は固定電話無し)。インターネット利用者は1762人。2010年の国勢調査結果に従ったウェイトバックが行われている。
今報告書では居住地域の様式・開発度を4つのタイプ「大都市」「大都市付近の近郊」「小都市、街」「地方」に区分している。しかし設問・報告書にはそれらを区分する明確な定義は無く、回答者がこの4区分の中から「自分の判断に従い」回答している。世間一般の常識として浸透している区分で答えていると考えれば、まず間違いはない。
↑ あなたはどのタイプの環境に住んでいるか(再録)
まずは普段どのような項目、区分のニュースに興味関心があり(テレビやインターネットなど使用ツールの種類を問わず)チェックをしているかについて。もっとも多くの人が確認しているのは「天気」で9割近く。日常生活に大きな影響を与える天気に多くの人が興味を抱くのは当然の話。
↑ 興味関心があるチェックしている情報
次いで多いのは「臨時ニュース」、そして「政治・選挙など」「事件事故」などが続く。関心を持たれる事象の傾向は、どこの国でも似たり寄ったりのようだ。
これらの多くはどの地域居住者でも大きな違いはない。一方で地域によって明らかに違いを見せる項目もある。それらを抽出したのが次のグラフ。例えば「不動産」の場合、大都市居住者は1/3程度しか興味を持たないが、小都市・街居住者は過半数がチェックを入れている。
↑ 興味関心があるチェックしている情報(居住エリアによって傾向が異なる項目限定)
「地方」の値が一番高いのなら理解も容易だが、結果としては「小都市・街」が最高値を占め、「地方」はそれに続く形となっている。「地方」の場合はインフラ整備の事情などから、情報取得そのものに消極的なのかもしれない(実際同調査別項目では、オンラインによる情報取得傾向において、例えば「ウェブサイトで地域新聞の公式ページをチェックする」項目など、一部でその動きが確認できる)。
一方都市圏周辺の居住者はこれらの項目には比較的関心が低いと考えると、地域ごとのライフスタイルの違いも垣間見ることができる。例えば「レストラン・バー・クラブ」の(地域)情報は、自ら積極的に情報を取得しなくてもあまり困らない、意識的に傾注して探さなくても容易に見つけられるので、わざわざ意図的に探すこともあまりない。特に情報を確認しなくとも、容易に望みの場所が見つかるような恵まれた環境にあるから、と考えることができる(「地方」でやや値が下がるのは、既知の場所位しか周辺地域に存在しない、ネットやテレビで確認しても、自分が足を運べる領域にはないであろうとの認識を持っているのも一因かもしれない)。
生活様式や周辺環境によって、情報取得に重点をおきたい情報も異なってくる。それがそのまま情報取得のスタイルを変化させると考えれば、納得もできるというものだ。
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