アメリカの居住地域と近所付き合い・住み心地の良さ
2012/10/01 12:10
アメリカの調査機関【Pew Research Center】は2012年9月26日、アメリカにおける地域社会と情報伝達・取得様式に関する報告書【How people get local news and information in different communities】を発表した。今回はその中から、地域の様式別における居住地域とのつながり度合い、親近感について見ていくことにする。
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今調査は2011年1月12日から25日にかけてアメリカ合衆国内に住む18歳以上の男女のうち、RDD方式で選ばれた電話番号に対してかけた人を対象に、通話インタビューにて行われたもので、有効回答数は2251人。そのうち固定電話は1501人、携帯電話は750人(うち332人は固定電話無し)。インターネット利用者は1762人。2010年の国勢調査結果に従ったウェイトバックが行われている。
今報告書では居住地域の様式・開発度を4つのタイプ「大都市」「大都市付近の近郊」「小都市、街」「地方」に区分している。しかし設問・報告書にはそれらを区分する明確な定義は無く、回答者がこの4区分の中から「自分の判断に従い」回答している。世間一般の常識として浸透している区分で答えていると考えれば、まず間違いはない。
↑ あなたはどのタイプの環境に住んでいるか
これらの居住地域・環境に住む人たちにとって、それぞれが住んでいる環境は、どれほど本人にとって居心地の良い場所なのだろうか。プラスの影響を与えている度合いを尋ねた結果が次のグラフだが、大勢としてさほど変わらず「それなりに居心地は良い」と回答している。「住めば都」なのかもしれない。
↑ 自分の居住地域の環境は自分にとってどれくらいのプラスの影響を与えているか
強いて言えば「地方」がやや低め、というところか。
それでは今の居住地域に、どれほどの期間住み続けているのか。あまりにも居心地が悪い場合、定住期間も短くなる傾向もある。あるいは現在住んでいる理由も影響してくる。結果としては開発が進んでいる地域ほど、居住期間が短くなる動きとなった。
↑ その地域に何年位住んでいるのか
報告書では一つの可能性として「地方は定住住居、大都市は就業などの必要性から居住しているため、居住期間が短くなる(転勤、あるいは転職すればその場に居る必要性が無くなる)」と説明している。それと類似する形になるが、「そもそも開発が行われてからまだ日が浅いため、長期間住み続けられるはずもない」場合もあろう。さらに地方社会の場合「周囲との密着度が高く、なかなか離れがたい」「先祖代々の土地であり、離れるわけにはいかない」というパターンも少なくない。
周辺との密着度の高さは、次の結果が良い指針となる。
↑ ご近所の名前をどれ位知っているか
周辺近所住民の名前を知っているか、表現を変えればご近所付き合い度合いを示すものだが、きれいに「地方ほど付き合い度が高い」結果が出ている。地方ほどその場に慣れ親しんで、住民間で形成されたコミュニティの一員として自分の立ち位置を確保しているからこそ、(住み心地が飛びぬけて良いわけではないが)長きに渡って住み続けられる。あるいは逆で、長期間住み続けているからこそ、周辺地域との関係も密接になる。
このあたりの事情は何もアメリカに限ったことではない。日本もまた同じ。同様の調査をすれば、恐らくは同じような結果が出るに違いない。
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