米喫煙者は非喫煙者ほど「間接喫煙」のことを気にしない
2012/10/15 06:35
アメリカの調査機関【ギャラップ社】は2012年9月28日、アメリカにおける「喫煙・間接喫煙と体に与える悪影響に関する意識調査」の結果を発表した。それによるとアメリカ人の大人全体としては9割近くの人が、間接喫煙(第三者の喫煙でもたらされた煙が意図しない人にまで達し、結果として喫煙しているのと同じ状態になること)は体に有害であると考えていることが分かった。喫煙者も8割近くが有害と感じている。しかし「とても有害」との認識を示している人は、非喫煙者が6割強なのに対し、喫煙者は3割にも満たない結果となった(【発表リリース】)。
スポンサードリンク
今調査の最新版は2012年7月9日から12日にかけてアメリカ合衆国内に住む18歳以上の無作為抽出(RDD方式)で選ばれた男女に対して電話による音声通話(英語とスペイン語)で行われたもので、有効回答数は1014人。質問には英語以外にスペイン語も用いられ、かけた先の電話の種類は固定電話・携帯電話で6対4の割合。2011年3月の国勢調査に基づいたウェイトバックがかけられている。
【30センチ? 3メートル? 「たばこの煙」とその害はどこまで届く? 】や【隣の人のたばこの煙で「喫煙」はゴメン? 公共施設やホテルでの全面禁煙に賛成は76.8%】などにもあるが、喫煙者が意図して煙草を吸うことを「喫煙」「能動喫煙」と呼び、吸う意図が無い人が喫煙者のたばこから生じる煙(副流煙(ふくりゅうえん))で喫煙するのと同じ状態になることを「受動喫煙」「間接喫煙」と呼んでいる。公共施設や職場での分煙・禁煙が進んでいるのも、この「間接喫煙」のリスクによるところが大きい。
喫煙者・非喫煙者それぞれに対し、「間接喫煙」はどれほど大人にとって有害なのかを尋ねたところ、過半数の人が「有害である」との認識を示していた。意図しない第三者に与えてしまう悪影響を、喫煙者自身も理解はしている。
↑ 間接喫煙は大人にとってどれ程有害だと思うか(米、2012年7月)
しかしその理解も、非喫煙者と比べれば弱いレベルにとどまっている。特に「とても有害」という強い認識では、非喫煙者が63%なのに対し、喫煙者は28%。約半分でしかない。非喫煙者から見れば、理不尽さを覚えるかもしれない。
この意識の違いは短期的なものではなく中期的なもので、過去10年強の動向には大きな変化がない。
↑ 間接喫煙は大人にとってどれ程有害だと思うか(米、「とても有害」の回答者率推移)
今報告書によれば「間接喫煙のリスクの高さを示す研究結果が発表されたり、27の州で包括的な禁煙条例が可決されるなど、間接喫煙に対する風当たりは強くなっている。にもかかわらず、間接喫煙がハイリスクであることの認識に変化はない」とし、問題視している。
「間接喫煙」の最大の問題点は、喫煙するつもりがない人でも結果的に喫煙しているのと同じ状態になるという理不尽さにある。喫煙者サイドから見れば、その理不尽さが理解しにくいのが「有害認識の低さ」に現れていると考えられる。そして今件はアメリカでの話だが、日本でも十分な認識・啓蒙が求められよう。
スポンサードリンク