紙媒体のみ、デジタル媒体のみはどれ位? 米新聞媒体の購読性向
2012/09/30 19:30


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データ取得元はアメリカの新聞協会「Newspaper Association of America(NAA)」のサイト内にある、【Trends & Numbers】の項目。ここから「Readership」、そして「Readership Archives」から「Readership Trends」「Newspaper Readership & Audience by Age and Gender」を選択する。ここには2008年から2012年までの日曜版や平日版における、紙媒体のみやデジタル媒体も含めた読者数(定期購入者ではないことに注意)が掲載されている。この値を足し引きすることで、(一週間に一度でも)「紙媒体を読んでいる人(デジタル媒体も読んでいるか否かは問わず)」「デジタル媒体のみを読んでいる人」が算出できる。
なお2011年以降については登録会員のみ(有料無料を問わず登録者のみが閲覧できるデジタル媒体、ページ)と、無料で誰もが登録せずに読めるウェブページ読者も求めることができる。逆に2007年以前はデジタル媒体の区分が無く、調べることは不可能。

↑ 米新聞読者推移(万人)(週1回でも読んだ人)(電子媒体閲覧のみの人=無料ウェブ閲覧者+無料・有料の登録会員)

↑ 米新聞読者推移(万人)(週1回でも読んだ人)(2011-2012年)
紙媒体の読者はじわじわと、そして確実に減少中(「紙媒体のみ」の読者ではないことに注意。「紙媒体」読者の中には「デジタル媒体も」読んでいる人もいる)。一方で電子(デジタル)媒体のみの読者は少しずつだが確実に増加中。ただしデジタル媒体のみ読者の増加分が、紙媒体読者の減少分を支えることはできず、全体としては減少傾向にある。またデジタル媒体のみで、しかも登録会員のみという人は減少、代わりに無登録でも無料閲覧ができるタイプの新聞閲覧タイプの人が増加をしている。
「デジタルで読めるのならわざわざ紙媒体を手にする必要はない。にもかかわらずデジタル媒体のみの読者の増え方が大人しい」と疑問に思う人も多いかもしれない。これは多分に、登録会員向けの記事の購読方法、会員登録のためのハードルが、紙媒体読者には非常に有利に働いていることに起因する。
極端な話、「紙媒体の新聞を取ってくれれば、デジタル媒体版は全部無料で閲覧できます(あるいは『非常に安価で提供します』)」「でも紙媒体版を取らない人には、それなりの対価が必要になります」という条件を提示する事例が多い。すでに紙の新聞をとっていて「邪魔っぽい」「デジタルで一部読めるから必要ない」という人も、「デジタル版が無料で読めるのなら、そのまま購読を続けるか」と考え、結果として「紙媒体とデジタル媒体」の双方の読者になる次第。

米新聞社の中にはニューヨーク・タイムズ紙のように、(無料閲覧部分で得られる広告費が増え)有料会員制を止めてしまったところもある、【Times to Stop Charging for Parts of Its Web Site】)。収益モデルの違いにより新聞社毎にデジタル媒体への対応・提供の仕組みには違いがあるものの、全般的には紙媒体の漸減、デジタル媒体のみ読者の漸増という傾向が継続するに違いない。
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