アメリカの対人口比正規雇用率
2012/10/01 06:45


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今調査の最新版は2012年8月1日から31日にかけてアメリカ合衆国内に住む18歳以上の無作為抽出(RDD方式)で選ばれた男女に対して電話による音声通話(英語とスペイン語)で行われたもので、有効回答数は3万1364人。質問には英語以外にスペイン語も用いられ、かけた先の電話の種類は固定電話・携帯電話で6対4の割合。2011年3月の国勢調査に基づいたウェイトバックがかけられている。
世間一般に使われる就職率・失業率は、「労働力人口」を元に計算される。一方で学生や家事にいそしむ人、療養中の人、リタイアした人など労働の意思を持たない人は「非労働力人口」として計上され、就職率・失業率の計算時には除外される。要は「正規雇用者」「非正規雇用者」「求職中(失業中)」が「労働力人口」として勘定され、それに「非労働力人口」が加わって全人口となる。
今件はその「非労働力人口」も含めた、「対人口比正規雇用率」を算出したものである。それによれば全体では45%、男性は53%、女性は38%という結果になった。世間一般の就業率よりも低いのは、「非労働力人口」も比率計算の際に用いられているため。

↑ 米成人の正規雇用率(対人口比)(2012年8月、ギャラップ社の聞き取り調査)
例えば18-24歳は45%とある。男女・人種を問わずこの世代階層の45%は正規雇用として就業中という計算。残りの55%は失業中、あるいは学業に従事していたり家事に勤めている(非労働力人口)。
女性の「対人口比正規雇用率」が低いのは、元々就職率が低いのに加え、後に触れる「対人口比非労働力比率」が高い、つまり対人口比労働力比率が低いから(加えて「非正規雇用者」も多い)。似たような事由で、高齢層・低学歴の「対人口比正規雇用率」も低い(但し高齢層はリタイア組が大半のためか、「対人口比非労働力比率」がすこぶる高く、3/4を超えている)。
また人種別ではヒスパニック系の「対人口比正規雇用率」が高いが、報告書では「ヒスパニック系の方が非労働力人口が少ないから」とあり、その理由として「世代構成比として若年層が多く、リタイア組が少ないから」と説明している。
その「対人口比正規雇用率」はこちら。元記事では「全体」の比率が未計上のため、グラフからも除外した(概算では32-33%)。

↑ 米成人の非労働力人口率(対人口比)(2012年8月、ギャラップ社の聞き取り調査)
圧倒的に高齢者の比率が多いのは直上で触れた通り。3/4はリタイアして、「労働よさらば」状態にある(中には病症に伏せている人もいるが)。また女性が男性の2倍近く多いのは、専業主婦などの存在によるもの。さらに直上のヒスパニック系周りの話も、こちらで半ば裏付けられる。
ちなみにこの2つの値を足し、100%から引くと、「非正規雇用者」「失業者」を合計した対人口比率が算出される。未回答者の割合や、「非正規雇用者」「失業者」の比率が不明なため一概には言えないが、若年層・低学歴者が就職難にあえいでいるようすがにじみ出る結果が出ている。

↑ 米成人の「非正規雇用者」+「失業者」人口率(対人口比)(概算)(一部)(2012年8月、ギャラップ社の聞き取り調査)
通常の失業率による状況把握だけでなく、今件のように「非労働力人口」まで含めて眺め見るのも、雇用状況を推し量る上では必要な手立てといえよう。
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