備えあれば憂いなし…米モバイルバックアップ事情
2012/09/23 07:00
アメリカの調査機関【Pew Research Center】は2012年9月5日、アメリカにおけるモバイル端末(一般携帯・スマートフォン双方を含む)とプライバシーとの関わり合いに関する調査報告書【Privacy and Data Management on Mobile Devices】を発表した。今回はその中から、モバイル端末のバックアップ事情に関する部分を見ていくことにする。
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今調査は2012年3月15日から4月3日にアメリカ合衆国内に住む18歳以上の男女に対し、電話による対話(英語とスペイン語)でのインタビューにて行われたもので、有効回答数は2254人。固定電話は1351人、携帯電話は903人(うち410人は固定電話なし)。インターネット利用者はそのうち1803人。回答値には国勢調査を基にしたウェイトバックがかけられている。
今調査に関する別記事で挙げているが、モバイル所有者の3割強は端末の紛失、盗難の経験を持っている。
↑ セキュリティ周りで次の経験をしたことがあるか(モバイル端末保有者限定)(米、2012年3-4月)(再録)
もちろん盗難に限らず、ミスによる消去・上書き、トラブルによるデータ損失など、パソコン同様にモバイル端末のデータが失われるリスクは存在している。そして一般携帯よりも情報量の多いスマートフォンの方が、「何かあった」場合の被害も大きくなる。
今件ではモバイル端末内の写真や各履歴をはじめとしたファイルのバックアップをしているか否かについて尋ねている。頻度はともかく、バックアップをしている人は4割強。
↑ モバイル端末内の写真や各種履歴などのファイルをバックアップしているか
端末種類別に見ると、データ量の多いスマートフォンの方がバックアップ率は高い。一般携帯では8割近い人が「バックアップ無し」と答えている。見方を変えれば、スマートフォンでも4割近くがバックアップ体制にないことが確認できる。
これを属性別に見ると次の通りとなる。明らかに「若年層」「高所得」「高学歴」ほど高いバックアップ率を示している。
↑ モバイル端末内の写真や各種履歴などのファイルをバックアップしているか(モバイル端末保有者限定)(米、2012年3-4月) (属性別)(少なくとも「たまに」以上はしている人)
特に年齢別の差異は大きく、最若年層の56%と65歳以上との間には6倍近い差が見られる。
もっともこれらの差は(報告書では言及されていないが)、そのままスマートフォンの所有比率傾向とも一致している。「若年層」「高所得」「高学歴」ほどスマートフォン保有率が高いので、結果としてバックアップ率も高くなると見たほうが筋が通る(残念ながら各層の保有端末種類別回答率は公開されておらず、この仮説の裏付けは取れない)。
報告書では別の切り口からのバックアップ動向も表記されている。
・不正アクセス体験とバックアップ性向には有意と考えられる差異が。経験者は57%、未経験者は39%がバックアップ。
モバイル端末本体紛失では、データのバックアップの必要性について、あまり危機感を覚えないのかもしれない。一方で不正アクセスの場合は直接データを狙われており、重要性を体感しているため、バックアップへの関心も高まるようだ。
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